これは、私が大学時代に体験した、忘れられない恐怖の話です。友人たちと一緒にシェアハウスに住んでいた私たちは、楽しい学生生活を送っていました。しかし、あの手紙が届いてから、全てが変わってしまったのです。
ある日、シェアハウスの郵便受けに、一通の古びた手紙が届きました。封筒には何の差出人も書かれておらず、ただ私の名前が手書きで書かれていました。不思議に思いながらも、私はその手紙を開けてみました。中には黄ばんだ紙が一枚入っており、そこには赤いインクで「助けて…」とだけ書かれていました。
その夜、私はその手紙のことが気になって眠れませんでした。誰がこんな手紙を送ってきたのか、何を意味しているのか全くわかりませんでした。友人たちに相談してみましたが、皆それぞれ忙しく、深く考えようとはしませんでした。
数日後、再び同じような手紙が届きました。今度は「逃げて…」とだけ書かれていました。不安が募る中、私は手紙の差出人を突き止めるために、警察に相談することにしました。しかし、警察はそれをいたずらとして取り合ってくれませんでした。
その夜、私たちのシェアハウスで奇妙なことが起こり始めました。夜中に誰もいないはずの廊下から足音が聞こえたり、突然電気が消えたりしました。私たちは恐怖におののき、次第に誰もが神経質になっていきました。
ある晩、私は深夜に目を覚ましました。寝室のドアが静かに開いていることに気づき、恐る恐る起き上がってドアの外を覗きました。すると、廊下の先に白い影が見えました。それは薄暗い中でぼんやりと浮かび上がり、こちらをじっと見つめているようでした。
私は恐怖で身動きできず、その場に立ち尽くしていました。次の瞬間、影はゆっくりとこちらに向かって歩いてきました。心臓が激しく鼓動し、全身が冷たくなりました。影が近づいてくると、その正体がはっきりと見えてきました。それは、血まみれの女性の姿でした。
彼女は無表情で、目には深い怨念が宿っているように見えました。「助けて…」彼女は低い声で呟きました。私は恐怖のあまり声を出せず、ただ後ずさりすることしかできませんでした。女性の霊は次第に姿を消し、廊下は再び静まり返りました。
翌朝、私は友人たちに昨夜の出来事を話しました。皆一様に驚き、ついに私たちは何かが起こっていることを認めざるを得ませんでした。私たちはシェアハウスを出ることを決意し、すぐに引っ越し先を探し始めました。
その後、私たちは無事に新しい住居を見つけ、シェアハウスを離れました。奇妙な出来事はそれ以来起こらず、平穏な日々が戻ってきました。しかし、あの手紙の差出人が誰で、何故私たちに送られてきたのかは未だに謎のままです。
数年後、私は偶然にもあのシェアハウスのことを思い出し、調べてみることにしました。すると、驚くべき事実が判明しました。私たちが住んでいたシェアハウスでは、数年前に女性が殺害される事件が起こっていたのです。その女性は、事件の直前に何度も助けを求める手紙を書いていたというのです。
あの手紙は、その女性が私たちに助けを求めて送ってきたのかもしれません。今でも、あの手紙のことを思い出すと、背筋が凍る思いがします。私たちの周りには、まだ解明されていない恐ろしい出来事が潜んでいるのかもしれません。