怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

「真夜中の訪問者」(怖い話、奇妙な話)

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これは、私が一人暮らしを始めたばかりの頃に体験した、本当に恐ろしい出来事です。大学を卒業して新しい仕事に就いた私は、会社の近くにある古いアパートに引っ越しました。家賃が安くてラッキーだと思っていましたが、あの出来事が起こるまではそう考えていました。

ある夜、疲れ果てて帰宅した私は、シャワーを浴びてすぐにベッドに入ることにしました。午前0時を過ぎた頃、ふと目が覚めました。部屋は真っ暗で、静まり返っていましたが、何か不気味な気配を感じました。まるで誰かが部屋にいるような…。

私は怖くなって、身動きできませんでした。しばらくすると、玄関のドアをノックする音が聞こえました。こんな時間に誰が?心臓がバクバクと鳴り始め、冷や汗が流れました。ノックは続きました。意を決して、ベッドから起き上がり、玄関に向かいました。

ドアスコープから外を覗くと、そこには誰もいませんでした。ホッとしながらドアを開けると、廊下にはやはり誰もいませんでした。不思議に思いながらも、ドアを閉めて再びベッドに戻りました。しかし、その夜はもう眠ることができませんでした。

翌日、職場で同僚に昨夜の出来事を話すと、「それは疲れていたから幻覚を見たんじゃないか?」と言われました。私もそうかもしれないと思い、その日の夜も普通に過ごしました。

しかし、同じ時間に再び目が覚めました。時計を見ると午前0時を過ぎていました。恐怖心が蘇り、再び玄関の方からノックの音が聞こえました。今回ははっきりと聞こえました。再びドアスコープを覗きましたが、やはり誰もいませんでした。怖くなってドアを開けるのをためらっていると、ノックが止み、今度は窓の外から何かが叩かれる音がしました。

窓に近づき、カーテンを少し開けて外を見ると、真っ暗な夜空と、ぼんやりとした人影が見えました。その人影は、窓のすぐ外に立っていて、こちらをじっと見つめていました。私は叫び声を上げて後退りし、すぐに警察に電話しました。

警察が到着するまでの時間が永遠のように感じました。彼らが到着し、部屋を調べてもらいましたが、何も異常は見つかりませんでした。窓の外も確認しましたが、人影など見当たりませんでした。警察は「気のせいだったのかもしれませんね」と言いましたが、私には確かに見えたのです。

その後も、毎晩同じ時間にノックの音と人影を見るようになりました。精神的に追い詰められた私は、友人に相談し、しばらく友人の家に泊まることにしました。友人の家では、奇妙な現象は起こりませんでしたが、自分のアパートに戻る勇気はなかなか出ませんでした。

ある日、友人の勧めで霊媒師に相談することにしました。霊媒師は私の話を聞き、アパートに来て浄霊を行うことを提案しました。半信半疑でしたが、藁にもすがる思いで依頼しました。

霊媒師がアパートに到着し、部屋の隅々を調べ始めました。すると、彼は一箇所に立ち止まり、深い溜息をつきました。「この部屋には強い怨念が宿っています」と言いました。驚いたことに、その怨念の正体は、以前この部屋に住んでいた女性の霊だというのです。彼女は不幸な事故で命を落とし、その無念がこの部屋に残っていると。

霊媒師は儀式を行い、部屋を清めました。彼は最後に「これで彼女の魂も安らかになるでしょう」と言いました。それ以来、奇妙な現象はピタリと止みました。

私は再びアパートに戻り、平穏な生活を取り戻しましたが、あの夜の恐怖は今でも鮮明に覚えています。あの女性の霊が何を求めていたのか、本当のところはわかりませんが、少なくとも今は安らかに眠っていることを願っています。

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