怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

「電話ボックスの向こう側」(怖い話、奇妙な話)

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これは、大学時代に体験した奇妙な出来事です。友人たちと一緒に夏休みを過ごすために、山間の小さな村へ旅行に行った時のことです。その村は静かで美しく、自然に囲まれていて、まさにリフレッシュするのに最適な場所でした。

到着してすぐ、私たちは村の観光名所を巡りました。古い神社や美しい滝、伝統的な家屋など、どこも魅力的でした。夕方になると、宿に戻り、夜のバーベキューを楽しむ計画を立てていました。

その晩、バーベキューの準備が整い、私たちは食事を楽しみました。食事が終わると、友人の一人が「夜の散歩に行こう」と提案しました。皆賛成し、夜の村を歩いてみることにしました。月明かりに照らされた村の風景は幻想的で、私たちはすっかり魅了されていました。

しばらく歩いていると、村のはずれに古びた電話ボックスが見えてきました。興味本位で近づいてみると、その電話ボックスはまるで時間が止まったかのように古びていて、使われていない様子でした。誰かが「中を見てみよう」と言い、私たちは中を覗き込んでみました。

電話ボックスの中には、古いダイヤル式の電話機がありました。友人の一人が冗談半分で電話機の受話器にふれると、突然、電話が鳴り始めました。皆驚いて後ずさりしましたが、その友人は「ちょっと待って、誰かが電話してくるみたいだ」と言い、受話器を耳に当てました。

彼は数秒間沈黙した後、顔色を変えて受話器を置きました。「なんだよ、ただの悪戯電話じゃないか」と言いましたが、彼の表情は明らかに動揺していました。私たちは少し不安になりながらも、その場を離れることにしました。

宿に戻ると、友人はあの電話ボックスのことを話題にしました。「あの電話、なんかおかしかったよな。誰があんなところから電話をかけてくるんだ?」皆が同意し、あの出来事は奇妙だと感じていました。

その夜、私は何度も目を覚ましました。不気味な夢ばかり見て、どうしても安眠できませんでした。翌朝、友人たちも同じように眠れなかったと言っていました。皆が口を揃えて言うには、夢の中で電話のベルが鳴り響いていたというのです。

私たちは不安を抱えながらも、旅行の残りの日程を過ごしました。村の人々にあの電話ボックスについて尋ねてみましたが、誰も特に気にしていないようでした。ある老人が「その電話ボックスは昔からあるけど、誰も使っていないんだよ。たまに誰かが悪戯で鳴らすことがあるけどね」と教えてくれました。

最終日、私たちは村を離れる前に、もう一度あの電話ボックスを見に行くことにしました。今度は昼間だったので、少し気持ちが楽でした。電話ボックスに近づくと、再び電話が鳴り始めました。誰も受話器を取ろうとはしませんでしたが、その音は確かに響いていました。

最後に、勇気を出して私が受話器を取りました。「もしもし」と言うと、かすかな声が聞こえました。「ここから出して…」その声はまるで遠くから聞こえてくるようでしたが、確かに誰かが助けを求めているような声でした。驚いて受話器を置くと、電話は静かになりました。

それ以来、私たちはあの電話ボックスのことを話題にすることはなくなりました。村を離れた後、誰もあの電話ボックスについて触れようとはしませんでした。あの奇妙な体験は、まるで夢の中の出来事のように感じられました。

あの電話ボックスは一体何だったのか、なぜあのような声が聞こえたのか、たんなるいたずらなのか、それとも・・・今でもわかりません。ただ一ついまでも考えてしまうのが、あの電話ボックスは普通のものではないのではないかということです。

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