これは、私が大学生の頃に体験した、今でも忘れられない恐怖の出来事です。私の親友である中村健太は、誰からも好かれる明るい性格で、キャンパスの人気者でした。しかし、ある日を境に、彼の姿は突然消え、その後戻ってきた彼はまるで別人のようでした。
ある日のことでした。健太は大学の講義が終わった後、どこかへ行くと言ってそのまま姿を消しました。翌日も、次の日も彼は現れず、連絡も取れませんでした。心配した私たちは警察に通報し、捜索願を出しました。しかし、彼の行方は全く掴めませんでした。
健太が姿を消してから一週間後、彼は突然キャンパスに戻ってきました。私たちは驚きと喜びで彼を迎えましたが、何かがおかしいとすぐに感じました。彼の顔には以前の明るさがなく、無表情で無口になっていました。彼の目には何か不気味な光が宿っており、その視線は冷たく、私たちを遠ざけているようでした。
「おかえり、健太！どこに行ってたんだ？」と声をかけると、彼は短く「ちょっと用事があって」と答えただけで、何も詳しいことは話しませんでした。友人たちは彼が無事に戻ったことに安堵し、深く追及することはありませんでした。しかし、私は彼の変化がどうしても気になりました。
彼の行動も変わっていました。以前は誰にでも親切で、冗談を言って皆を笑わせていたのに、今はほとんど誰とも話さず、一人でいることが多くなりました。授業中もぼんやりと窓の外を見つめていることが増え、以前の健太とはまるで別人のようでした。
一度、彼に直接尋ねてみることにしました。「健太、本当に大丈夫か？何があったのか話してくれないか？」彼は一瞬私を見つめましたが、その目はどこか遠くを見ているようでした。「何もないよ。ただ少し疲れてるだけだ」と冷たく答え、それ以上は何も話しませんでした。
私以外の友人たちは、彼の変化に全く気づいていないようでした。彼らは彼の無口になったことを「大人になった」と軽く受け流し、以前と同じように接していました。私だけが違和感を覚え続けていました。
ある日、健太の部屋に招かれました。彼の部屋は以前と変わらない様子でしたが、どこか冷たい雰囲気が漂っていました。私は何かを探ろうと、部屋の中を見回していました。すると、一冊の古びた日記が目に入りました。健太が席を外した隙に、私はその日記を手に取り、中を見ました。
そこには、彼の失踪していた一週間の出来事が詳細に記されていました。彼は山中で迷い込み、ある廃墟のような建物にたどり着いたと書かれていました。その建物の中で何か不気味な儀式が行われていたこと、そして彼がその儀式に巻き込まれたことが記されていました。日記の最後には、「彼らは私を連れて行こうとしている。私は戻れないかもしれない」と書かれていました。
その時、健太が戻ってきて、私が日記を読んでいるのを見てしまいました。彼の目が鋭く光り、冷たい声で「それを置いて」と言いました。私は震えながら日記を元に戻し、何も言わずに部屋を出ました。
その後、私は彼との距離を取ることにしました。彼が戻ってきたのは本当に健太なのか、それとも別の何かが彼の体を借りているのか、全くわからなくなっていました。友人たちに日記のことを話そうとしましたが、信じてもらえるかどうか不安でした。
しばらくして、健太は再び姿を消しました。今度は本当に戻ってくることはありませんでした。大学の生活は続きましたが、彼のことを忘れることはできませんでした。彼が消えた後、私は日記を思い出し、彼の失踪と変貌の謎を解明しようとしました。
私は日記に書いてあった山中に向かい、彼が書いていた廃墟の建物を探しました。何時間も探し回った末、ようやくその場所を見つけました。建物は荒れ果てており、まるで何年も放置されているようでした。中に入ると、健太の日記に書かれていた儀式の痕跡が残っていました。
そこで私は、健太が体験した恐怖と絶望を感じ取りました。彼は何かに取り憑かれ、別の存在に体を奪われてしまったのかもしれません。あの廃墟で何が行われていたのか、今でも謎のままです。
健太の失踪と変貌は、私の心に深い傷を残しました。彼が何を体験し、何故変わってしまったのか、誰にも知ることはできません。あの日の出来事は、今でも私の心に重くのしかかっています。もし、あなたの友人が突然変わったら、それは本当にその友人なのか、よく確かめる必要があるかもしれません。
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