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忘れられた小さな神様:主人公と神社の物語

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活気ある神社とみすぼらしい神社

小学生のひろきは、町の二つの神社を知っていました。
一つは立派で広々とした神社、もう一つはみすぼらしい小さな神社です。町の人たちはみんな立派な神社を好み、みすぼらしい神社を見下していました。でも、ひろきはそのみすぼらしい神社が大好きでした。
静かで落ち着ける雰囲気、苔むした鳥居、そして何よりも、その神社から漂ってくる不思議な力を感じていたからです。

熱と願い

ある日、ひろきは友達と一緒に電車で少し栄えた街へ行き、新しくできた喫茶店でケーキを食べる約束をしました。しかし、その約束の前日にひろきは高熱を出してしまいました。
友達と遊びに行けないと思い、大好きなケーキを食べに行けないかもしれない。
熱で体がだるく、ひろきは悲しみに暮れました。
それでも諦めきれず、ひろきは熱がありながらも必死にみすぼらしい神社へと向かいました。
熱がありながらも小さな神社へ行くことを決意しました。神社の前で、どうか風邪が治りますようにと、一生懸命にお願いをしました。
「神様、どうか僕の熱を治して、友達と遊びに行けるようにしてください。」

叶えられた願い

その奇跡のようなお願いが通じたのか、不思議と次の日にはひろきの熱はすっかり下がり、元気いっぱいになっていました。
約束通り、友達と喫茶店へ行き、ケーキを美味しく食べることもできました。
それからというもの、ひろきは何か困ったことがあると、必ずそのみすぼらしい神社にお参りに行くようになりました。不思議なことに、どんな問題もすんなりと解決するようになったのです。
テストで良い点を取れたり、運動会で優勝したり、迷子になった子猫を見つけたり、ひろきの願いは次々と叶えられていきました。
ひろきは、みすぼらしい神社に住む神様が本当にいるんだと信じるようになりました。

消える神社

ある日、ひろきがどうしても食べたいお菓子があり、そのお菓子が手に入るようにと、いつものように小さな神社にお参りに行きました。しかし、その神社に着くと、驚くべき光景が広がっていました。シャベルカーやトラクターが神社の周りに集まり、神社が取り壊されていたのです。呆然とその光景を見ていると、工事現場のおじちゃんが近づいてきました。
「この神社は、管理する人がいなかったから、取り壊しが決まったんだよ。」
おじちゃんの言葉に、ひろきは心が沈みました。

忘れられない思い出

しかし、その神社を見つめていると、神社がまるで「ありがとう」と言っているように感じました。誰も見向きもしなかったのに、ひろきはいつもお参りに来てくれたから感謝しているような気がしたのです。その感覚によって、悲しさは少しずつ消えていきました。
そして、ひろきは神社に感謝の気持ちを伝えました。
神社が消えてしまうことを悲しみながらも、神様がこれからもどこかで幸せに過ごせるよう願いました。

手作り神社

しかし、ひろきは心の奥で「神様はどこへ行くのだろう?住む場所があるのだろうか?」と心配になりました。
そこで、ひろきは自分の部屋に小さな神社を手作りすることを決意しました。
自分の部屋に小さな机を置き、その上に手作りの神社を置きました。
木や紙、拾ってきた枝や石で作られたその神社。
ちょっとカッコ悪いですが、ひろきは一生懸命心を込めて作りました。
決して立派ではありませんが、ひろきの心が込められた愛情のこもった神社です。

「もしよかったらここに住んでください。」とひろきは、小さな神社の前で静かにお願いしました。手作りの神社を通じて、ひろきはいつも心の中で神様を感じることができました。そして、困ったときにはその小さな神社にお参りをし、今度は自分自身が神様の力を信じることで、様々な問題を解決していきました。

こうしてひろきは、小さな神社とともに日々を過ごし、誰も見向きもしなかった神社がひろきにとって大切な存在であることを確信しました。どんなに小さくても、自分の心を込めたものは価値があることを知り、ひろきはさらに成長していったのです。

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