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主人公:佐藤 健太
佐藤 健太は、一人暮らしをする60代の男性。退職後は趣味の読書と散歩に明け暮れていた。
ある日、いつも通り自宅で読書に没頭していた健太は、玄関のチャイムの音に顔を上げた。
突然の訪問者
「誰だろう?」
健太は不思議に思いながら、玄関に向かった。普段、宅配便以外で訪問者はほとんどない。
ドアを開けると、そこには見知らぬ中年男性が立っていた。スーツ姿で、どこか冴えない印象の男だった。
「佐藤さんですね?失礼します。」
男はそう言って、名刺を差し出した。名刺には「夢販売株式会社」と記されており、男の名前は「田中 夢人」と書いてあった。
記憶の彼方の違和感
「夢を販売する?そんな会社聞いたことないぞ。」
健太は怪訝そうに思いながらも、男を家の中に招き入れた。
「突然のご訪問失礼しました。実は、佐藤さんの夢を分析し、あなたに最適な夢を提供したいと思いまして。」
夢人と呼ばれる男は、そう切り出した。
「夢を分析して…提供する?何のことだ?」
健太は、ますます混乱してきた。しかし、夢人という男は、まるで催眠術のように健太を誘導し、話を続けた。
不可解な申し出
「佐藤さんは、最近夜中に悪夢を見ることがありませんか? 私たちは、そんな悪夢を消し去り、あなたに幸せな夢を提供することができます。」
夢人は、そう言って、健太に資料を見せた。そこには、様々な夢の画像と、それにまつわる解説が書かれていた。
「幸せな夢…悪夢を消し去る…そんなことができるのか?」
健太は、半信半疑ながらも、夢人という男の話に引き込まれていった。
記憶の彼方に消えた商品
気がつくと、健太は夢人の話を聞きながら、いつの間にか書類にサインをしていた。そして、その書類には、高額な金額が記されていた。
「夢は人生の一部です。幸せな夢を持つことは、あなたの人生を豊かにします。」
夢人は、そう言って健太に商品を手渡した。それは、小さな金属製の箱だった。
「この箱の中に、あなただけの夢が詰まっています。寝る前にこの箱を手に取り、目を閉じてください。そうすれば、あなたに最適な夢が見られるでしょう。」
夢人はそう言い残し、去っていった。
消えない疑問と恐怖
夢人という男が去った後、健太は混乱と恐怖に襲われた。自分が何をしたのか、なぜ高額な商品を買ってしまったのか、何も思い出せない。
しかし、手には確かに金属製の箱があった。健太は、箱を手に取り、恐る恐る目を閉じた。
記憶の彼方に消えた真実
次の朝、健太は目を覚ました。昨夜の記憶は、ほとんど残っていなかった。ただ、一つだけ覚えていることがあった。それは、夢人という男が去っていく背中に、奇妙な光が灯っていたことだった。
そして、その日から健太は、奇妙な夢を見るようになった。夢の内容は、どれも鮮明で、まるで現実のような感覚だった。
しかし、その夢はどれも、幸せな夢ではなかった。むしろ、恐怖や不安に満ちた夢ばかりだった。
健太は、金属製の箱を捨てようと考えた。しかし、なぜか捨てられない。箱は、まるで健太に吸い寄せられるように、彼のそばから離れようとしなかった。
記憶の彼方に消えた真実
それから数日後、健太は街中で夢人という男を見かけた。男は、健太に気づくと、ニヤリと笑みを浮かべた。
「夢はいかがですか?」
夢人はそう言って、健太に近づいてきた。
健太は、恐怖で声も出なかった。夢人という男は、健太の記憶を操り、彼に悪夢を見させていた。
そして、その悪夢は、健太の精神を蝕み、徐々に彼を狂気に陥れていくのだった。
この世の恐怖を超えた真実
この話は、実際に一人の男性が体験した出来事をもとにしています。信じる信じないはあなた次第ですが、この世には、科学では説明できない恐怖が存在する。
もし、あなたも恐怖に直面しているなら、一人で抱え込まずに、誰かに助けを求めてほしい。
恐怖に打ち勝ち、明るい未来を掴み取ってください。
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