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黄金の石と運命の逆転 (怖い話 奇妙な話)

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田中弘一は30代の平凡な会社員だったが、数ヶ月前に職を失った。原因は会社でのパワハラだった。上司からの執拗な嫌がらせとプレッシャーに耐えかね、彼は精神的に追い詰められていた。限界を迎えた弘一は、ついに退職を決意した。しかし、収入が途絶えることは大きな問題だった。

精神的には疲れ切っていたが、収入がないのは不安だ。
彼は考え抜いた末、デイトレードに挑戦することを決めた。会社員時代は、過酷な労働環境のため、彼には遊ぶ時間がほとんどなく、結果として1000万円以上の貯金があった。その資金を元手に、デイトレーダーとしての新たな道を模索し始めたのだ。

しかし、現実は甘くなかった。買えば株価は下がり、売れば株価は上がる。偶然儲けることがあっても、次の日には再び損失を被るという悪循環に陥った。彼の貯金はみるみる減っていき、日々の不安と焦りは募るばかりだった。

そんなある日、突然電話が鳴った。相手は高校時代のクラスメイト、山本だった。特に親しい仲ではなかったが、懐かしさに任せて電話に出ると、山本は唐突にこう言った。

「お前、運良くなりたくないか?」

驚いた弘一が「なりたいけど、どうして?」と答えると、山本は笑いながら「じゃあ、俺と飲みに行け」と言った。弘一は半ば強引に誘われる形で、久しぶりに山本と飲みに行くことになった。

居酒屋で再会した山本は、昔と変わらず明るく、話し好きだった。二人は高校時代の思い出話に花を咲かせ、時間が経つのも忘れるほどだった。あまり親しくなかったとはいえ、同じクラスで過ごしたクラスメイト、共通の話題にはつきなかった。

楽しい時間はあっという間に過ぎ、会計を済ませて店を出ると、山本は突然、ポケットから小さな金色に輝く石を取り出した。

「やっぱりお前はいいやつだな。高校の時からいいやつだと思ってたよ。お前ならこれを渡せる。」

とその石を渡してきた。受け取った弘一は、

「なんだよ、これ。いらねぇよ、こんな石ころ。」と少し照れながら答えたが、山本はニヤニヤしながらからかうように言った。

「これは幸運の石だよ。運良くなりたいんだろ。お前、お人好しで貧乏くじばっか引いてそうだからな。」

弘一は苦笑しながらも、「まぁ、貧乏くじならひきまくりだな。」と返した。山本は笑って「じゃあな、今日はありがとう」と別れを告げた。

弘一はなんだか不思議な気持ちで帰宅した。高校時代のことを思い返してみると、山本に「お前はいいやつだな」とことあるごとによく言われた記憶がよみがえった。仲はそれほど良くなかったが、共通の友人はいたので、なんだかんだでちょこちょこ話してたな。彼の言葉に込められた真意が、今になって少しだけ理解できる気がした。

家に着いた弘一は、山本からもらった金色の石を大切に保管することにした。「運が良くなるなんて信じられないけど、一応友人にもらったものだしな。」と自分に言い聞かせた。

次の日、弘一はいつものようにデイトレードに臨んだ。すると、驚くべきことが起こった。彼が買った株は軒並み上昇し、売り時を逃さずに大きな利益を上げることができた。まるで、これまでの損失が嘘のように儲かり始めたのだ。

「こんなことが…」と半信半疑だったが、その後も運の良さは続いた。まるで見えない力が彼を導いているかのようだった。弘一は数日で、これまでの損失を取り戻し、さらに大きな利益を得ることができた。

「まさか、あの石のおかげなのか?」

彼は疑念と驚きの中で、その可能性を考え始めた。山本の言葉が頭に浮かび、彼のニヤニヤしながら友人を気遣う表情が脳裏に焼き付いて離れなかった。

ある夜、再び山本から電話がかかってきた。彼はにこやかに「どうだ、運良くなってるか?」と尋ねた。弘一は驚きと感謝を込めて「本当に驚くほどだよ。ありがとう。」と答えた。

山本は笑いながら「良かったな。お前ならきっと大丈夫だと思ったよ。でもな、あの石はただのきっかけに過ぎない。結局、お前自身の力で運を掴んでるんだぜ。」と言った。

しかし、お人好しな弘一は山本が気になった。

「でも、こんないいもの俺に渡しちゃっていいのか?お前は大丈夫なのか?」

「大丈夫だよ。さっきも言ったようにきっかけに過ぎない、俺の運は十分よくなった。次はお前の番だ。」

その言葉に、弘一は深く感動した。彼は再び山本に感謝し、電話を切った。運が向いてきたのは確かに幸運の石のおかげかもしれないが、最終的には自分の努力と判断が成功を呼び込んでいるのだということを実感した。

それから数ヶ月、弘一はデイトレードで成功を収め続けた。貯金は再び増え、精神的にも安定を取り戻した。彼は山本からもらった金色の石を、常にデスクの上に置いていた。石を見るたびに、あの日の出来事と山本の言葉を思い出し、自分を鼓舞し続けた。

「運が良くなるなんて信じられなかったけど、本当にそうなるなんてな。」

弘一は微笑みながら、デスクに置かれた小さな金色の石を見つめた。彼はこれからも、この運命を大切にし、自分の力で切り開いていく決意を新たにした。

彼の成功は、偶然ではなく、信じる力と努力の結果だった。そして、それを導いてくれた山本への感謝を忘れることはなかった。

そして、次は自分が、この石を誰かに渡し誰かを導く番だと。

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