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お守りの力 (怖い話 奇妙な話 不思議な話)

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小さい頃、私はよく祖母の家に遊びに行った。祖母の家は古く、田舎の静かな場所にあり、季節ごとの風景が美しかった。特に夏の夕方、庭先でホタルが飛び交うのを見ながら、祖母と過ごす時間が大好きだった。

ある年の夏、私は祖母から一つのお守りをもらった。美しい絹の袋に包まれたそのお守りは、小さな金色の鈴がついていて、動かすと優しい音を奏でた。祖母はそのお守りを手渡しながら、私に言った。

「これはね、私の母からもらった大切なお守りなんだよ。これを持っていると、きっと困ったときに助けてくれるよ。」

幼い私は、その言葉を深く信じ、そのお守りをいつも大事に持ち歩いていた。しかし、成長するにつれ、そのお守りの存在を次第に忘れていった。中学、高校、そして大学と、忙しい日々の中でお守りは引き出しの奥にしまい込まれたままになっていた。

大学を卒業し、私は都会の企業に就職した。仕事は忙しく、毎日が慌ただしく過ぎていった。そんなある日、会社で大きなプロジェクトが任された。初めての大きな仕事であり、成功すれば昇進も見えてくる重要なプロジェクトだった。

私は全力で取り組んだが、次第にプレッシャーに押しつぶされそうになった。長時間の残業、上司の厳しい指摘、チームメンバーとの意見の食い違い…毎日がストレスの連続だった。そんなある夜、家に帰ってふと引き出しを開けたとき、幼い頃に祖母からもらったお守りが目に入った。

「懐かしいな…」

手に取ってみると、金色の鈴がかすかに音を立てた。祖母の優しい笑顔が脳裏に浮かび、少しだけ心が安らぐ気がした。そのお守りを手にしながら、祖母の言葉を思い出した。

「これを持っていると、きっと困ったときに助けてくれるよ。」

その言葉を信じ、私はお守りをポケットに入れて次の日から持ち歩くことにした。不思議なことに、その日から少しずつ状況が改善し始めた。チームメンバーとのコミュニケーションがスムーズになり、上司の指摘も減っていった。

ある日、プロジェクトの重要なプレゼンテーションが控えていた。緊張と不安でいっぱいだったが、ポケットに入れたお守りに手を触れると、少しだけ心が落ち着いた。プレゼンテーションが始まると、驚くほど順調に進み、自信を持って話すことができた。プレゼンテーションが終わると、上司からの評価も高く、その後の会議でも好意的な反応を受けた。

プロジェクトは無事に成功し、私は昇進することができた。喜びとともに、私はあのお守りのおかげだと感謝の気持ちでいっぱいになった。祖母にそのことを伝えようと電話をかけると、懐かしい声が返ってきた。

「おばあちゃん、あのお守り、本当にありがとう。おかげでプロジェクトが成功したよ。」

「それは良かったね。お守りはあなたを見守ってくれるからね。」

その後もお守りは私のそばにあり、困ったときや不安なときには必ず持ち歩いた。何度も助けられ、その度に祖母の言葉を思い出した。祖母の愛情と、お守りの力に支えられながら、私は順調にキャリアを積んでいった。

数年が経ち、私は自分の家族を持つようになった。子どもが生まれ、祖母の家に家族で訪れることも増えた。ある日、祖母の家に行ったとき、ふとあの夏の日を思い出した。庭先でホタルが飛び交う夕暮れ、祖母と過ごした穏やかな時間。

「おばあちゃん、あのお守り、本当にありがとう。今度は私の子どもにもそのお守りを渡したいな。」

祖母は優しく微笑みながら、お守りの力を信じ続けるようにと私に言った。私はその言葉を胸に刻み、子どもたちに祖母から受け継いだお守りを大切にするよう教えた。

時が経ち、祖母は天国へ旅立ったが、その愛情とお守りの力は私の中で生き続けた。困難な時期や迷いが生じた時、お守りを手にすると、祖母の優しい笑顔が心に浮かび、勇気と安心感を得ることができた。

今では私の子どもたちも大きくなり、それぞれの人生を歩んでいるが、私が祖母からもらったお守りの話を伝えると、彼らもまたその力を信じている。そして、私たち家族の絆はお守りとともに一層強くなっているのだ。

祖母からもらったお守りの力。それはただの物ではなく、祖母の愛情と守護の象徴だった。お守りが私を助けてくれた瞬間は数え切れないが、それ以上に祖母の愛が私を支えてくれたことを、私はいつまでも忘れることはないだろう。

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