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不思議な冒険の記憶 (怖い話 奇妙な話 不思議な話)

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夏休みのある朝、トモハルと親友のシンジロウは、いつものように山道に遊びに行くことにした。二人は小学生で、夏休みの間、毎日のように山で虫取りをしたり、小川で遊んだりして過ごしていた。しかし、今日は特別な日だった。二人は、いつもは入らない山奥まで冒険しようと計画していたのだ。

「今日は本格的な冒険だぞ!」とシンジロウが言った。

「うん、絶対に楽しいはずだ!」とトモハルも興奮気味に答えた。

二人は大きな水筒とお弁当、大量のお菓子、懐中電灯を持って出発した。準備は万端だった。山道に入ると、いつもの遊び場を通り過ぎて、さらに奥へと進んでいった。

「ここから先は行ったことないな」とトモハルが言った。

「うん、でも今日は特別だからね」とシンジロウが笑顔で応じた。

初めはワクワクしながら進んでいた二人だったが、次第に周囲の雰囲気が変わってきた。鳥の声や動物の声が不気味に聞こえ始め、二人の間に不安が広がった。

「なんだか、ここから先はちょっと怖いな」とシンジロウが言った。

「うん、ちょっと不気味だね。でも、大丈夫、僕たちは一緒だもん」とトモハルが言ったが、内心は少し心配だった。

しばらく進むと、シンジロウが立ち止まり、「この辺で、引き返さないか?」と提案した。

「そうだな、帰ろうか」と不安になっていたトモハルも同意した。

二人は来た道を引き返し始めたが、いくら歩いても見覚えのある場所に戻ることができなかった。一本道のはずなのに、なぜか違う場所に迷い込んでしまったかのようだった。

「どうして戻れないんだろう?」とトモハルが不安そうに言った。

「わからない、でも、もう随分歩いたよね」とシンジロウも困惑していた。

空は次第に暗くなり、二人は懐中電灯を取り出して歩き続けた。しかし、見覚えのある景色は現れなかった。

「ちょっと休憩しよう」とトモハルが言った。

「そうだな」とシンジロウも同意し、二人はその場に座り込んだ。

疲れ切った二人は、持ってきたお弁当を食べ、そのまま一晩をそこで過ごすことにした。周囲の不気味な声に怯えながらも、お互いを励まし合いながら夜を明かした。

翌朝、周囲が明るくなると、再び歩き始めた。昨日とは打って変わって、少し歩いただけでいつもの景色が広がっていた。二人は安堵し、早足で山道を抜け出した。

しかし、山道を抜けると見たことのない街並みが広がっていた。二人は混乱し、「ここはどこだ?」と互いに尋ね合った。

近くにいた大人に場所を尋ねると、そこは自分たちの町から電車で三駅離れた街だった。その大人は迷子だと思って心配してくれたが、二人は大丈夫だと伝え、駅の場所を教えてもらった。

駅に着くと、自分たちの町への切符を買い、電車を待つ間に持ってきたお菓子を食べた。やっとの思いで自分たちの町に戻ると、二人はまっすぐ家に帰った。

家に着くと、お母さんが驚いた様子で迎えてくれた。

「あら、もう帰ってきたの?だって、つい一時間前に出て行ったばかりじゃない。シンジロウくんとは会えたの?やだ、真っ黒じゃない、この短時間でよくそこまで汚したわね」と言われた。

トモハルは混乱しながらも、その日を過ごした。次の日、シンジロウに日付が進んでいないこと、進んでないどころか家を出て1時間程度しかたっていなかったことを伝えると、シンジロウも同じ体験をしていた。

「俺たち、あの森で過ごした一晩はなんだったんだろう?」とシンジロウが言った。

「夢か幻だったのかもしれないけど、二人で同じ体験をしたんだから、本当だよね」とトモハルが答えた。

二人はこの不思議な体験を秘密にすることにした。

そして後日、二人で近くの図書館で地図を調べることにした。

地図を見て、二人は驚愕した。自分たちの町と三駅離れた街の山は、一切繋がっていなかった。なぜ自分たちがその場所にたどり着けたのか、全く理解できなかった。

年月が経ち、トモハルとシンジロウは大人になったが、今でも親友であり、たまに飲みに行くと必ずあの不思議な体験の話をする。

「あの時のこと、今でも不思議だよな」とシンジロウが言う。

「うん、本当に。」とトモハルが答え、恥ずかしいから口には出さないが、あの体験があったからこそ俺たちの絆は強くなったんだ、と思う。

不思議な冒険の記憶は、二人の心に深く刻まれていた。それは恐怖と興奮の入り混じった、一生忘れることのできない体験だった。何年経っても、あの日のことを思い出すと、二人は心の中で笑い合い、あの冒険が彼らの友情をより強固なものにしたことを感じるのだった。

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