真夏の夜、エアコンの効いた涼しい部屋で、あなたは一人、読書に耽っていました。ふと、窓の外から不自然な音が聞こえてきます。
それは、金属を擦るような、不気味な音でした。最初は気のせいだと思い、気にせずに読書に戻りますが、音は徐々に大きくなり、不規則なリズムを刻み始めます。
恐る恐る窓の外を見ると、そこには信じられない光景が広がっていました。
月明かりの下、あなたの家の庭で、一人の男が奇妙なダンスを踊っていました。男は真っ黒なスーツを身にまとい、顔は真っ白に塗りつぶされています。そして、その手には、血まみれのナイフが握られていました。
あなたは恐怖で声も出ず、ただただその光景を見つめます。男のダンスは、まるで狂乱の様相を呈していました。そして、その目は、真っ直ぐあなたを見つめているようでした。
恐怖に駆られたあなたは、なんとか声を振り絞り、助けを求めます。しかし、誰もあなたの声に気付きません。
男はゆっくりと、あなたに向かって近づいてきます。その足音は、まるで心臓の鼓動のように重く、不気味でした。
あなたは逃げようとしますが、体が動かなくなります。恐怖で全身が麻痺し、ただ立って男の接近を見守るしかありません。
男はついにあなたの目の前に立ち止まり、血まみれのナイフをあなたに向けます。
「助けて!」
あなたは最後の力を振り絞って叫びますが、その声は虚しく闇に消えていきます。
そして、次の瞬間、あなたは鋭い痛みを感じます。男のナイフが、あなたの胸に突き刺さっていました。
あなたは絶望的な叫び声を上げ、そのまま意識を失ってしまいます。
目を覚ますと、あなたは自分のベッドに横たわっていました。さっきの出来事は、悪夢だったのでしょうか?
しかし、あなたはすぐにその考えを否定します。あなたの胸には、確かに痛みがありました。そして、布団には血の跡が残っていました。
あなたは恐る恐る、窓の外を見ます。しかし、そこには何もありません。ただ、静寂だけが支配していました。
あなたは、あの男が再び現れるのではないかと、恐怖に震えます。
真夏の夜は、まだ長い。あなたは再び悪夢に囚われてしまうのでしょうか?それとも、悪夢は現実となるのでしょうか?
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