大学生の康太は、一人暮らしを始めてから半年が経った。大学の近くに借りたマンションは、周囲が静かな住宅街にあり、勉強に集中できる環境だった。築年数は多少古いが、家賃が手頃で部屋の広さも十分だったため、康太はこの部屋に満足していた。
ある晩、康太は大学のレポートを終え、ベッドに入ることにした。窓の外には薄いカーテンがかかっており、外の街灯の明かりがぼんやりと部屋に差し込んでいた。時計を見ると午前1時を回っていた。疲れが溜まっていた康太は、すぐに深い眠りに落ちた。
その夜、ふと目が覚めた康太は、窓の外に何かが動いているのに気づいた。寝ぼけ眼でカーテンの向こうを覗くと、そこには白い顔が浮かんでいた。驚きで心臓が跳ね上がり、思わず布団を頭からかぶった。
「夢だ…これはきっと夢だ…」
自分にそう言い聞かせ、再び眠りにつこうとしたが、心臓の鼓動は激しくなり、なかなか眠れなかった。翌朝、窓の外を確認したが、何も異常はなかった。康太は自分が見たものが単なる夢だったのだと思い込むことにした。
数日後、同じ時間に再び目が覚めた。今度ははっきりと、窓の向こうに白い顔が浮かんでいるのを見た。顔は無表情で、ただじっとこちらを見つめていた。恐怖で動けなくなった康太は、しばらくそのまま固まっていたが、やがて意を決して窓に近づいた。しかし、窓を開けた瞬間、その顔は消え去り、夜の静けさだけが残っていた。
「何なんだ…あれは…」
不安と恐怖が募る中、康太はその夜もほとんど眠れなかった。翌日、大学の友人に話してみたが、みんな「疲れてるんじゃないか?」と笑って済まされた。しかし、康太の心の中では不安が消えず、夜になると窓の外を気にするようになった。
その週の終わり、康太はついに決心して窓の外にカメラを設置することにした。夜中に何かが映るかもしれないと思い、カメラを回し続けた。翌朝、録画を確認すると、午前1時過ぎに白い顔がカメラに映り込んでいるのがはっきりと見えた。
「これが証拠だ…でも、どうすればいいんだ…」
康太はその映像を持って大家に相談することにした。大家は驚いた様子で、「こんなことは初めて聞いた」と言い、警察にも連絡するよう勧めた。警察に映像を見せると、彼らも驚き、すぐに調査を開始した。
しかし特に何も出てこなかった、数日後、警察が私の家にやってきた。
いつも数名で来るのに、その時は一人でやってきた。
その警察は、警察官がこんなことをいうのもあれなんですが、と言い淀んでいた。
康太が「何ですか?話してください」と言うと。警察は話し始めた。
警察はマンションの過去の住人について調べたところ、数年前に同じ部屋で若い女性が住んでいたことが判明した。彼女は謎の失踪を遂げ、その後何も手がかりが見つかっていないという。
「もしかしたら、その女性の霊が…」という警察の言葉に、康太は震え上がった。彼女の無念がこの部屋に残っているのかもしれないと思うと、恐怖が増した。
その晩、康太は部屋に戻り、窓の外を見ないようにして眠りについた。深夜、再び目が覚めたが、今度は窓の外を見る勇気が出なかった。カーテンの向こうに何があるのか知りたくないと思い、布団をかぶって目を閉じた。
翌朝、康太は決心した。もうこの部屋に住むことはできないと感じ、引っ越しをすることにした。荷物をまとめ、大家に事情を話して早急に退去することにした。
新しい部屋に引っ越した後、康太は少しずつ落ち着きを取り戻した。新しい部屋では、あの白い顔を見ることはなかったが、夜になると今でも時折あの恐怖が蘇ることがあった。
大学を卒業し、康太は仕事に就き、忙しい日々を送るようになった。あの出来事は次第に忘れ去られたが、心の奥底には常にその記憶が残っていた。
数年後、康太は結婚し、家庭を持つようになった。妻と子供と共に幸せな日々を過ごしていたが、ある夜、突然その恐怖が再び蘇った。寝室で眠っていると、ふと目が覚め、窓の外を見ると、あの白い顔が浮かんでいたのだ。
「やめてくれ…もう来ないでくれ…」
康太は恐怖で声が出ず、ただその場で震えるしかなかった。顔は無表情で、ただじっとこちらを見つめていた。しばらくすると、その顔はゆっくりと消えていった。
翌朝、康太はそのことを妻に話したが、妻は「疲れているんじゃない?」と言って心配するだけだった。しかし、康太の心には再びあの恐怖が刻まれた。
その後も、時折あの顔を見ることがあったが、康太はそれに怯えながらも、ただ静かに受け入れるようになった。彼女の霊が何を求めているのかは分からないが、康太はその存在を感じながらも、平穏な日々を送ることを心掛けた。
白い顔の霊が何を伝えたいのか、何を求めているのかは分からないが、康太はその存在を忘れることなく、彼女の無念が安らかに眠ることを祈り続けている。
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