目次
プロローグ
仕事が多忙な秋の日、主人公の田中は本社の重要な会議に出張していた。会議は無事に終わったものの、風邪気味でのどが痛く、咳も少し出ていた。熱っぽさも感じ、ひどくなったら大変だと思った。
第一章: 不便なホテル
会議の後、田中は駅近のホテルを取ることができず、タクシーで15分ほど走った先にあるホテルに泊まることになった。ホテルの周りはさびれていて、何もなかった。体調が悪化しないうちに風邪薬を手に入れたいと思ったが、近くに薬屋が見当たらない。
第二章: 謎の薬屋
幸いにも、ホテルの近くに小さな古びた薬屋を見つけた。田中は店に入り、風邪薬を探していると店主に話した。店主は無言で棚の奥から見たこともない風邪薬を取り出し、「7000円です」と告げた。少し高いなと思ったが、他に薬屋もないので仕方なく購入することにした。
その際、店主は田中にポイントカードを作るように強引に勧めてきた。出張できているため、ポイントカードはいらないと伝えたが、店主はしつこく勧め、田中は仕方なく作ることにした。カードはプラスチック製で簡素なデザイン、QRコードが書かれていた。
「初回のため10ポイントつきます」と店主は言ったが、田中は風邪気味で興味がなかったため、生返事で答えた。
第三章: 薬の効果と無事な出張
ホテルに戻り、薬を飲むと驚くほど体調が良くなり、無事に出張も終えた。風邪薬の効果に感謝しつつ、田中は自宅に戻った。
第四章: 謎のポイントカード
出張からしばらく経ったある日、田中は財布を整理していると、あの薬屋で作らされたポイントカードが出てきた。「10ポイント」と言われたが、何に使えるのかと思い、好奇心からQRコードを読み込んでみた。
すると、怪しげなサイトが表示され、ポイント交換の画面が出てきた。そこには以下のような交換リストが表示されていた。
100ポイント: 宝くじ(3億円)
10ポイント: 宝くじ(1000万円)
5ポイント: 彼女
4ポイント: パソコン
3ポイント: 給料アップ(月額5000円)
2ポイント: 宝くじ(5万円)
1ポイント: 豪華な食事
「なんだこれ、適当だな。宝くじが多いな」と田中は呟いた。とりあえず、2ポイントの宝くじ5万円にでもしてみるかと、交換申請をした。
第五章: 予期せぬ当選
それから数日後、田中は出先で何気なく買ったスクラッチ宝くじを思い出した。家に戻り、宝くじを探して削ってみると、見事5万円が当たった。
「おー、すげー」と思わず声が出た。
第六章: ポイントの魔力
田中はあのポイントカードの効果かもしれないと思い始めた。半信半疑ながらも、再びサイトにアクセスし、残りの8ポイントで5ポイントの「彼女」と交換することにした。
その翌日、高校時代の友人から久しぶりに飲みに行く誘いが届いた。飲み会に参加すると、高校時代の女友達も来ており、話が弾んだ。その中の一人と特に気が合い、やがて付き合うことになった。
あのポイントは本当に効果があるのだろうか。
第七章: 最後のポイント
田中は、残り3ポイントをどうするか悩んだ。「給料アップ(月額5000円)」も悪くないが、それだけでは不十分だと感じた。
悩んだ末、再びポイントサイトにアクセスし、最後の3ポイントを何に使うか再度考える。
「給料アップ(月額5000円)」も悪くないが、果たしてそれが今の自分に必要なものかどうか、田中は考え込んだ。3ポイントという限られた資源をどう活用すべきか。結局、何を選ぶべきかは決められないまま、田中はサイトを閉じた。
エピローグ
その夜、田中は不思議な夢を見た。夢の中で、彼は再びあの古びた薬屋に立っていた。店主がにやりと笑いながら言った。
「ポイントは慎重に使うんだよ。時には、それが人生を大きく変えることもある。」
田中は、ポイント貯め方を聞いたが、店主はにやりと笑うだけで教えてくれなかった。
ポイントカードの力を信じつつも、自分の人生をよりよいものにするためには、自分自身の努力が不可欠だと感じた。
そして、田中は新たな気持ちで日々の生活に向き合うことを決意した。不思議なポイントカードとの出会いは、彼にとって忘れられない経験となり、彼の人生に少しの魔法をもたらしたのだった。
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