怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

死んだ人に会える焼鳥屋 (怖い話 奇妙な話 不思議な話)

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月曜日の夜の出会い

主人公の佐藤は、仕事の帰り道にふと裏路地へと足を踏み入れた。都会の喧騒から少し離れたこの場所は、静かで薄暗く、普段は通らない道だった。しかし、その日は何となく引かれるようにして、その道を歩き始めた。

途中で見つけたのは、小さな立ち飲みの焼鳥屋だった。看板には「月曜日限定営業」とだけ書かれている。不思議に思いながらも、佐藤はその焼鳥屋に入ってみることにした。店内は狭く、カウンターと数席の立ち飲みスペースだけだった。焼鳥の香ばしい香りと、かすかに漂う煙が心地よい。

「いらっしゃいませ!」と店主が笑顔で迎えてくれた。佐藤はカウンターの立ち飲み席で、ビールを注文した。焼鳥をつまみながらビールを飲んでいると、ふと隣に見覚えのある顔が見えた。

「おお、久しぶりだな!」その顔は、高校時代の友人、田中だった。

「田中? お前、こんなところで何してるんだ?」

「いやー、たまたまここ見つけてさ。お前こそどうしたんだ?」

二人は懐かしい思い出話に花を咲かせた。田中とはここ数年連絡を取っていなかったが、こうして再会できたことが嬉しかった。時の経つのも忘れて語り合い、佐藤はその夜、ほろ酔い気分で帰路に就いた。

また別の友人との再会

翌週の月曜日、佐藤は再び裏路地の焼鳥屋に足を運んだ。あの焼き鳥屋の雰囲気が気に入ったからだ。

先週と同じカウンターで、ビールを注文して焼鳥を待っていると、今度は大学時代の友人、山田が隣にいた。

「佐藤! 久しぶりだな!」

「山田? お前もここに来るのか?」

「うん、なんか引かれるように来ちまったよ。」

二人は大学時代の思い出を語り合った。山田とは卒業後、疎遠になっていたが、こうして偶然再会できるとは思わなかった。焼鳥屋の独特の雰囲気と、久々に会う友人との会話は、佐藤にとって特別な時間だった。

過去に亡くなった友人との再会

月曜日の夜、佐藤は再び焼鳥屋に向かった。今度は中学時代の友人、鈴木がいた。

「佐藤! 久しぶり!」

「鈴木? こんなところで会うなんて、奇遇だな。」

鈴木とは中学卒業後、ほとんど連絡を取っていなかったが、こうして再会できたことが嬉しかった。二人は中学時代の思い出を語り合い、笑い合った。

しかし、帰宅後、佐藤は鈴木のことが気になって仕方がなかった。確か鈴木は数年前に事故で亡くなったはずだった。調べてみると、確かに鈴木は死亡していた。佐藤は背筋が寒くなった。まさか、焼鳥屋で会った鈴木は幽霊だったのか?

他の友人たちの真実

佐藤は焼鳥屋で再会した他の友人たちも気になり、調べてみることにした。田中も山田も、全員が既に亡くなっていることが分かった。田中は病気で、山田は事故で亡くなっていた。佐藤は自分の目の前で起こっていることが信じられなかった。

焼鳥屋の謎

佐藤は恐怖を感じつつも、焼鳥屋で過ごした楽しい時間を懐かしく思い出した。あの店には、何か不思議な力があるのだろうか。自分はまだ生きているはずだと確認するために、佐藤は手首の脈を確かめた。確かに脈は打っている。だが、自分も既に亡くなっているのではないかという疑念が頭を離れなかった。

佐藤はもう一度焼鳥屋に行く決意をした。次の月曜日、再び裏路地を歩き、焼鳥屋の暖簾をくぐった。店主はいつものように笑顔で迎えてくれた。

「いらっしゃいませ!」

佐藤はカウンターで、いつものようにビールと焼鳥を注文した。店内には誰もいなかったが、静かな店内で一人、焼鳥を味わいながら、佐藤はこれまでの出来事を振り返った。

突然、店の扉が開き、懐かしい顔が現れた。それは、佐藤の最も親しい友人であり、数年前に病気で亡くなった田村だった。

「佐藤、お前もここに来るのか?」

「田村……お前もか。」

二人は静かに焼鳥を食べながら、過去の思い出を語り合った。田村は佐藤にとって特別な存在であり、その再会は喜びと同時に、深い悲しみを伴っていた。

終わりのない月曜日

佐藤はその後も毎週月曜日に焼鳥屋に通い続けた。毎回、別の友人と再会し、懐かしい話に花を咲かせた。彼らは皆、既に亡くなっている者たちばかりだった。佐藤は次第に、その焼鳥屋が現世と死後の世界を繋ぐ場所であることに気づいた。

しかし、佐藤自身はまだ生きているのか、既に死んでいるのか、その答えは分からなかった。ただ一つ確かなことは、月曜日の夜にしか開かないこの焼鳥屋で、彼は過去の友人たちと再会し、共に過ごすことができるということだった。

そして、佐藤はその不思議な焼鳥屋での時間を大切にしながら、生と死の境界線で揺れ動く自分自身を見つめ続けた。

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