ある日、医薬品会社の研究員である鈴木さんは会社で疲れ果てていました。長時間の会議や移動で体力は限界に近づいており、次のプレゼンテーションに向けてどうにかして元気を取り戻したいと思っていました。そんなとき、会社近くの裏路地にある自動販売機に「超元気エナジードリンク」というド直球な名前の飲み物が目に入りました。
鈴木さんはそのエナジードリンクを購入し、一口飲んでみました。味は普通のエナジードリンクと変わらないように思えましたが、飲み終わって数分後、彼は急に体中にエネルギーがみなぎるのを感じました。まるで疲れが一気に吹き飛んだかのようで、鈴木さんは信じられないほど元気になりました。
驚いた鈴木さんは、その日一日をエネルギッシュに過ごし、次の日も同じエナジードリンクを買って飲みました。すると、またもや信じられないほどの元気が体中に広がりました。これを続ければ、どんな忙しい日々も乗り切れると感じた鈴木さんは、毎日このエナジードリンクを飲むことにしました。
数週間が経ち、鈴木さんはますます元気になり、仕事のパフォーマンスも飛躍的に向上しました。しかし、ある夜、ふと鏡を見ると、自分の目が異様に光っていることに気づきました。不思議に思いながらも、あまり気にせず、次の日もエナジードリンクを飲み続けました。
すると、次第に鈴木さんの体に変化が現れ始めました。彼の力は人並み外れたものになり、昼夜を問わず働くことができるようになりました。しかし、同時に彼の感情は鈍くなり、家族や友人との関係もぎくしゃくし始めました。鈴木さんはエナジードリンクに依存するようになり、それなしでは一日も過ごせなくなっていました。
ある日、鈴木さんはそのエナジードリンクを製造している会社を訪れることにしました。工場の見学を申し込み、案内されたのは地下深くにある秘密の研究所でした。そこで彼は、エナジードリンクの成分が実際には未知の化学物質とナノテクノロジーによって作られていることを知りました。その物質は、飲む人のエネルギーを増幅する代わりに、徐々にその人の生命力を吸い取っていくものでした。
恐ろしい真実を知った鈴木さんは、すぐにエナジードリンクをやめようとしましたが、既に遅かったのです。彼の体はその物質に完全に依存してしまい、飲み続けないと生きていけない状態になっていました。彼は絶望しながらも、何とかして元の生活に戻る方法を見つけようと、日夜研究に没頭しました。
そして、ある日、鈴木さんは奇跡的に解毒剤を開発することに成功しました。その解毒剤を使い、彼は徐々に体の正常を取り戻していきました。しかし、彼の過去の経験は彼にとって大きな教訓となり、二度と不思議なエナジードリンクには手を出さないと固く誓いました。
 |
 | ページをめくってゾッとする 1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ] 価格:1078円 |
