怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

不可思議な山登りと、現れたもう一つの世界 (怖い話 奇妙な話 不思議な話)

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いつものように、私は愛着のある山へと足を運んだ。今日は、少し冒険心を刺激されるような、今まで歩いたことのないルートを選んでみようと思い、左端の道を進んでいく。

しばらく歩くと、今まで見たことのない分かれ道が現れた。少し迷いながらも、好奇心からその道へと足を踏み入れる。すると、そこには小さな小屋が佇んでいた。戸を開けると、薄暗い室内に、鋭い眼光を放つ動物の姿が。オオカミだろうか、それとも…。恐怖を感じ、私は慌てて小屋から飛び出した。

振り返ると、小屋は消え、視界には見慣れた風景が広がっていた。一息ついて、元の道に戻ろうとしたその時、背後から何かがこちらを見ているような気がした。振り返ると、そこには何もいなかった。

再び道を進み始めたが、周囲の風景が徐々に変化していることに気付く。木の種類も変わっているし、空気も違う。そして、遠くに、青く広がる海が見えた。

まさかと思いながらも、その海を目指して歩く。やがて、視界が開け、目の前には広大なビーチが広がっていた。信じられない光景に、私はしばらく立ち尽くした。

浜辺には、小さな屋台が数軒出ており、美味しそうな匂いが漂ってくる。私は、屋台で焼きとうもろこしを買って食べてみた。甘くて香ばしい味が口いっぱいに広がり、これまでの不安を忘れさせてくれる。

さらに奥へと進むと、今度は森の中に迷い込んでしまった。薄暗い森の中では、何かが囁いているような音が聞こえる。恐ろしい気持ちになったが、好奇心も抑えきれず、私はその音のする方へと進んでいった。

すると、突然、目の前に黒い影が現れた。それは、人間の形をした影だが、顔の部分は真っ黒で何も見えない。影は、私に何かを伝えようとしているようだったが、私には理解できなかった。

その直後、意識が遠くなり、気がついた時には山の頂上にいた。時計を見ると、まだ出発してから30分も経っていない。しかし、私の手には、先ほど食べた焼きとうもろこしの包みが握られていた。

この奇妙な体験は何だったのだろうか?夢だったのだろうか?それとも、別の次元へと迷い込んでしまったのだろうか?

私は、この出来事を友人や家族に話したが、誰も私の話を信じてくれなかった。彼らは、私が疲れて幻覚を見てしまったのだろうと言う。

しかし、私はこの体験が現実のものだと確信している。あの海の景色にとう焼きもろこしの味は、今でも鮮明に覚えている。そして、あの黒い影の恐怖も。

それからというもの、私は頻繁にその山を訪れるようになった。そして、毎回違うルートを探索し、新たな発見を求めている。もしかしたら、あの山には、まだ見ぬ世界が広がっているのかもしれないと。

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