不気味な廃屋の冒険　（怖い話　奇妙な話　不思議な話）

夏休みのある日、僕と友達のタカシ、ユウキの三人は、近所の廃屋に冒険に行くことにした。その廃屋は、近所でも有名な場所だった。長い間誰も住んでいなくて、草がボウボウと生い茂り、窓ガラスも割れている。誰も近づかないその場所に、僕たちは好奇心から足を踏み入れることにしたのだ。

廃屋に向かう道は、いつも通る道なのに、その日は何故か違って見えた。夏の太陽が照りつける中、廃屋の影は一層濃く、不気味さが増している。タカシは、「幽霊が出るって噂だけど、本当かな？」と興奮混じりに言った。僕たちはそれに半分怯えながらも、興味津々だった。

廃屋の入り口に着くと、僕たちはしばらく立ち止まっていた。廃屋のドアは開け放たれており、内部の暗がりが僕たちを招いているように見えた。「行こうぜ」とタカシが先に歩き出し、僕たちも続いた。

中に入ると、廃屋の内部は埃っぽく、古びた家具やガラクタが散乱していた。僕たちはそれぞれ別の部屋を探索することにした。僕はリビングルームのような場所に入り、古いソファや壊れたテレビが置かれているのを見つけた。その時、突然、背後から「ガサッ」という音が聞こえた。

「タカシ？ユウキ？」僕は振り向いたが、誰もいない。ただの風の音だと思い直して、探索を続けた。しかし、何かが変だった。空気が冷たく感じられ、背筋に寒気が走った。僕は急いでタカシたちの元に戻ることにした。

廊下に出ると、ユウキが青ざめた顔で立っていた。「どうしたの？」と聞くと、ユウキは震える声で言った。「誰かの声が聞こえたんだ…『帰れ』って…」

僕たちは冗談半分で来たはずなのに、その話を聞いて本気で怖くなった。タカシが「そんなわけないだろ」と笑おうとした瞬間、再び「ガサッ」という音が響いた。今度は明らかに近くからだ。

三人で廊下を進むと、奥の部屋から明かりが漏れているのに気づいた。誰もいないはずの廃屋で、明かりがついているなんておかしい。タカシが勇気を振り絞ってドアを開けると、そこには古いランプが置かれ、その周りには誰かの住んでいた痕跡があった。

「これ、誰が使ってるんだろう…」ユウキが不安そうに言った。その時、部屋の隅から「カサカサ」という音がして、何かが動いた。僕たちは一斉に後退し、廊下に出た。

「もう帰ろう！」僕たちは一致団結して廃屋を出ることにした。玄関に向かう途中、再び「帰れ」という声が聞こえた。今度ははっきりと、僕たち全員が聞いた。僕たちは一目散に廃屋を飛び出し、家に向かって走った。

家に帰ると、僕たちはその出来事について話し合った。「あれ、本当に幽霊だったのかな…」タカシがつぶやいた。「わからない。でも、もうあの廃屋には近づかないほうがいい」と僕は答えた。

その後、僕たちは二度とその廃屋に近づくことはなかった。誰も住んでいないはずの廃屋で体験した恐怖は、今でも忘れられない。何があったのか、本当のところはわからないけれど、僕たちはその日、廃屋の不気味さと恐怖を身をもって知ることとなったのだ。

廃屋での恐怖体験は、僕たちにとって忘れられない夏の思い出となった。あの不気味な廃屋には、何かが棲んでいるのかもしれないと、今でも時々思い出しては背筋が寒くなるのだ。

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