運命を選べる自動販売機　（怖い話　奇妙な話　不思議な話）

主人公は20代の女性で、人生の分岐点に立っていた。夢だったアーティストの道を追い続けるべきか、それとも安定した仕事を選ぶべきか、迷いが彼女の心を揺さぶっていた。家族や友人からの期待と、自分の夢の間で板挟みになり、日々の生活が重く感じられていた。

ある夜、考えがまとまらずに街を歩いていると、彼女はふと、見慣れない小さな公園にたどり着いた。公園はひっそりとしていて、街の喧騒から隔絶されているような、不思議な空間だった。その一角に、ひときわ目を引く古びた自動販売機がぽつんと置かれていた。

興味を引かれて近づくと、ディスプレイには「運命を選べるドリンク」という言葉が浮かんでいた。そこには、「夢を叶える道」「安定と安心の未来」「もう一度やり直す選択」など、まるで彼女の心の中を見透かしているかのような選択肢が並んでいた。

彼女はしばらく考え込んだ後、「夢を叶える道」と書かれたドリンクを選んだ。ボトルを手にした瞬間、そのボトルのデザインが彼女の目に映った。まるで彼女の夢や情熱が描かれているかのような、鮮やかな色彩がそこに広がっていた。

彼女は公園のベンチに腰を下ろし、深呼吸してからそのドリンクを一口飲んだ。すると、周りの景色が一瞬にしてぼんやりと変わり、次第に彼女の目の前にいくつかの道が広がり始めた。ひとつの道は安定した仕事に続き、もうひとつの道は夢を追い続ける険しい道だった。

その光景を見ていると、彼女の心の中に迷いが再び浮かび上がったが、同時に強い決意も湧き上がってきた。彼女はどの道を選ぶか、自然と分かるようになっていた。

「夢を追い続けたい」――そう彼女は心の中で決意を固めた。そして、現実に引き戻されたかのように、再び公園のベンチに座っている自分に気づいた。

その瞬間から、彼女の心の中にあった迷いは消え去り、前を向いて進むべき道がはっきりと見えるようになった。夢を追い続けるための挑戦は決して簡単なものではないと知っていたが、それでも彼女はその道を選んだことを後悔しなかった。

次の日、彼女は早速、夢を叶えるために具体的な行動を始めた。仕事との両立を図りながらも、アートの制作に本腰を入れ、作品を発表する機会を増やしていった。彼女の情熱が伝わり、次第に仲間やサポーターも増え、道は少しずつ開けていった。

その後も、彼女は何度かあの公園を訪れてみたが、あの自動販売機はもう見つからなかった。しかし、彼女はその出来事がただの幻ではなかったと信じていた。あの夜、自動販売機が彼女に与えてくれたのは、運命を選び取る勇気と、自分を信じる力だったのだ。

彼女はこれからも、どんな困難な状況にあっても、自分の選んだ道を信じて歩んでいこうと心に誓った。運命は自らの手で切り拓くものだと、彼女は確信していたのだった。

ほんとうにあった怖い話「年上の彼女」

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