怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

ザラ、、、ザラ、、、 (怖い話 奇妙な話 不思議な話)

投稿日:

数年前、私は地方の山間部にある小さな町へ出張することになりました。その町は観光地としても知られており、歴史ある温泉がいくつか点在していました。出張先の会社が用意してくれた宿泊先は、その中でも特に古い木造の旅館でした。旅館は風情があり、趣のある建物でしたが、どこか薄暗く、昼間でも少し陰気な雰囲気が漂っていました。

滞在していた部屋は2階の角部屋で、広い和室に大きな窓が一つありました。窓からは美しい庭園が見え、静かな環境が心地よかったです。初日は特に問題なく、温泉に浸かり、ゆっくりと眠りにつくことができました。

しかし、滞在3日目の夜、奇妙な出来事が始まりました。その夜、仕事を終えて部屋に戻り、温泉に入った後、布団に入っていた時のことです。寝ようとして目を閉じると、何かが気になって眠れなくなりました。ふと耳を澄ませると、部屋のどこかから「ザラ、、、ザラ、、、」という微かな音が聞こえてくるのです。まるで何かが畳の上を這いずり回っているような音でした。

不安になり、電気をつけて部屋を見渡しましたが、特に異常はありませんでした。再び電気を消し、布団に入ると、また同じ音が聞こえてきました。今度はさらに音が近づいてくるように感じられ、心臓がドキドキと高鳴りました。

次の朝、旅館の女将さんにその音のことを話しましたが、彼女は「この古い建物だから、木が軋んだり、風が通ったりして、そういう音がすることもあるんですよ」と笑顔で答えてくれました。少し安心したものの、夜になるとまた同じ音が聞こえてくるのではないかと心配で、気が気ではありませんでした。

その夜、再び布団に入ると、やはり「ザラ、、、ザラ、、、」という音が聞こえ始めました。私は布団を被り、耳を塞ぎましたが、音はますます大きく、そしてはっきりと聞こえるようになりました。まるで何かが這いずってくるような、嫌な感覚に襲われ、怖くて目を開けることができませんでした。

しばらくして音が止み、静寂が戻りましたが、私は一睡もできずに朝を迎えました。次の日、どうしても気味が悪く、女将さんにもう一度話をすると、彼女は少し困った表情を浮かべました。

「そうですか。原因はわかりません。ただ、少し気になるようなら、部屋を変えましょうか?」と言われ、私はすぐに別の部屋に移ることにしました。

新しい部屋では何も奇妙なことは起こらず、ようやく安心して眠れるようになりました。しかし、出張が終わり、その町を去る日まで、あの「サラサラ」という音が何だったのか、はっきりとした答えは得られませんでした。地元の人たちに聞いても、「特に聞いたことはないとか」、せいぜい「あの旅館は少し不思議なことがあると聞いたことがある」程度の話で、具体的な話はありませんでした。

それ以来、古い建物に泊まる時は、どこか不安な気持ちを抱くようになりました。何かがそこに「いる」ような気配を感じることはありませんが、あの時の音が何だったのかを考えると、今でも少しだけ心がざわつきます。

マンガ無料立ち読み

マンガをお得に読むならマンガBANGブックス 40%ポイント還元中

1冊115円のDMMコミックレンタル!

人気の漫画が32000冊以上読み放題【スキマ】


ロリポップ!

ムームーサーバー




新作続々追加!オーディオブック聴くなら - audiobook.jp

ほんとうにあった怖い話「年上の彼女」



ページをめくってゾッとする 1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ]

価格:1078円
(2024/7/23 13:25時点)
感想(1件)



-怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

Copyright© 映画・ドラマ・本・怖い話・奇妙な話・不思議な話・短編・ガールズ戦士シリーズ・Girls2(ガールズガールズ)などの紹介・感想ブログです。 , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.