これは、私がまだ若手社員だった頃、会社の同期と一緒に心霊スポット巡りをした時の話です。ある夏の夜、私たちは、地元でも有名な心霊スポットである「呪われた廃病院」に行くことにしました。その廃病院は、以前は精神病院として使われていた場所で、閉鎖されてから長い年月が経っており、地元では数々の怪奇現象が報告されている場所でした。
病院は山の中腹に位置しており、町から離れたところにひっそりと佇んでいました。そこに向かう道中、車の中ではさすがに緊張感が漂い始め、普段は冗談を言い合う仲間たちも、その時はみんな真剣な表情でした。到着すると、廃病院は暗闇の中でぼんやりと姿を現し、窓ガラスは割れ、外壁には蔦が絡まり、まるで何かがその中に潜んでいるような異様な雰囲気を醸し出していました。
「さあ、行こうか」と、私は意を決してみんなを誘いましたが、誰もが足を踏み出すのをためらっていました。それでも全員で来たからには引き返せないという気持ちが勝り、懐中電灯を手に廃病院の中へと足を踏み入れることになりました。
病院の入り口は、かつての自動ドアが壊れて開けっぱなしになっており、そこからひんやりとした風が流れ出してきました。内部は完全に荒れ果てていて、廊下には割れたガラスや崩れた天井の破片が散乱していました。床に足を踏み入れるたびに、ガラスの破片が「カリカリ」と音を立て、私たちの足音が廊下に反響しました。誰もが無言で、ただお互いを見つめながら進んでいきました。
まず、私たちは病院の受付にたどり着きました。そこには古いカルテや薬のボトルが散乱しており、長い年月の経過を感じさせました。突然、背後から「カタン」という音がしました。振り返ると、廊下の端で何かが倒れたようでしたが、そこには誰もいませんでした。全員が一斉にその場に凍りつき、しばらくの間、誰も動けませんでした。しかし、何も起こらなかったため、私たちは少し安心し、再び前に進み始めました。
次に向かったのは、病院の中でも特に「出る」と噂されていた地下の病棟です。階段を下りるたびに空気がさらに冷たくなり、肌にまとわりつくような感覚が増してきました。地下病棟にたどり着くと、そこは完全な暗闇に包まれており、懐中電灯の光だけが頼りでした。廊下の両側には、小さな病室がいくつも並んでおり、その一つ一つが不気味な影を落としていました。
私は一番前を歩き、仲間たちと一緒にゆっくりと進んでいました。すると、突然、廊下の奥から「カタカタカタ…」という不規則な音が響き渡ってきました。音は次第に近づいてくるようで、まるで何かが這い寄ってくるような感覚がしました。全員がその場に立ち止まり、息を呑みました。その時、私たちの後ろにいた同期の一人が突然、「誰かが俺の肩を叩いた!」と叫びました。
振り返ってみても、そこには誰もいませんでした。しかし、彼の顔は真っ青で、彼が嘘をついているようには見えませんでした。その瞬間、私たちは全員恐怖心が頂点に達し、無我夢中でその場から逃げ出しました。地下から一気に駆け上がり、病院の出口まで全速力で走りました。誰も振り返らず、ただ一刻も早くその場所を離れたいという一心でした。
車に飛び乗り、エンジンをかけた瞬間、私たちは一斉に病院を振り返りました。すると、暗闇の中で、病院の二階の窓にぼんやりとした光が見えました。まるで誰かがそこから私たちを見ているかのように。全員がその光を見て固まりましたが、すぐに我に返り、車を急発進させました。
町に戻るまで、誰も一言も話さず、ただ震えた手で車のシートを握りしめていました。ようやく町に戻り、コンビニの駐車場で車を止めた時、全員がやっと深いため息をつきました。「もう二度とあそこには行かない」と、全員が口を揃えて言いました。
その後、私たちはあの廃病院について詳しく調べてみましたが、その病院で実際に何があったのか、なぜ閉鎖されたのかは謎のままでした。ただ、一つ言えるのは、あの場所には確かに「何か」が存在していたということです。あの時の恐怖は、今でも忘れることができませんし、あの廃病院が今どうなっているのかも知りたいとは思いません。
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