これは、ある女子大生が友人と一緒に、秋の紅葉シーズンに近場の山に登った時の話です。その山は日帰りで登れる手軽なハイキングコースがあり、特に紅葉の時期には多くの観光客が訪れることで知られていました。彼女たちは「秋の美しい景色を楽しもう」と、軽い気持ちでその山に出かけることにしました。
その日は快晴で、空には雲一つなく、登山日和でした。彼女たちは紅葉を眺めながら、楽しげに登山道を進んでいきました。道中は色づいた木々や、遠くに広がる景色を楽しみながら、写真を撮ったり、おしゃべりをしたりとリラックスした雰囲気で進んでいました。
しかし、山頂に近づいた頃から、次第に人の気配が少なくなり、静寂が辺りを包むようになりました。観光客の多いコースのはずなのに、急に周りがひっそりとしていることに気づき、彼女たちは少し不安を感じ始めました。それでも「せっかくここまで来たんだし、山頂まで行こう」と、予定通り進むことにしました。
山頂に到着し、彼女たちは持参したお弁当を広げ、しばらく景色を楽しんでいました。空は青く澄んでおり、遠くまで広がる山々が見渡せました。しかし、しばらくして一人が「なんだか変な感じがする…」と呟きました。彼女もその違和感を感じ始めていました。なぜか急に周囲が不気味に感じられ、風が冷たく肌に刺さるように感じられたのです。
その時、山頂に設置された古いベンチが視界に入りました。何気なくそのベンチに近づくと、ベンチの下に誰かの落し物のような小さな包みが置いてあるのに気づきました。興味本位でそれを手に取ってみると、包みは布で丁寧に包まれており、中には古い手紙が入っていました。手紙は色あせていて、何年も経過しているようでした。彼女たちは怖いもの見たさでその手紙を開いてみることにしました。
手紙には乱れた字で「ごめんなさい…」と繰り返し書かれており、その内容は読み取れないほど滲んでいました。それを見た瞬間、彼女たちはゾッとし、急にその場所にいることが怖くなりました。手紙を戻してその場を離れようとした時、突然背後で「バサッ」という音がしました。
振り返ると、木々が風に揺れたようにも見えましたが、なぜか鳥や動物の姿は全く見当たりませんでした。音のした方角を見ても、誰もいない。ただ、木々の間から何かがじっとこちらを見ているような感覚がして、全員が無言でその場を離れました。
下山を急ぐ彼女たちは、足早に山を降り始めましたが、途中で再び「ガサガサ…」という足音のような音が後ろから聞こえてきました。誰かがついてきているのかと思い振り返りましたが、やはり誰もいません。足音は少し止まったかと思うと、またすぐに聞こえ始めました。まるで彼女たちの動きに合わせて足音もついてくるかのようでした。
怖くなった彼女たちは、ついには走り出しました。息が切れるまで走り続け、ふもとにある駐車場までたどり着いた時、足音はピタリと止みました。全員が顔を見合わせ、無言でその場から急いで立ち去りました。
あの手紙が何だったのか、落とし主はどうなったのかは分かりませんが、彼女たちはそれ以降、その山には絶対に近づかないと誓いました。
身近な場所でも、何かが潜んでいるのかもしれないと思うと、登山が一気に怖く感じられた体験でした。
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