これは、ある女子大生が友人と一緒に、地元の小さな山にハイキングに出かけた時の話です。大学のサークル活動の一環で、彼女とその友人たちは軽い運動と自然を楽しむため、週末に地元の山に登ることにしました。その山は地元では家族連れも訪れるような穏やかな場所で、初心者向けのコースも整備されていました。
その日、彼女たちはお昼頃に集まり、ピクニック気分で軽い装備を持って出発しました。天気も良く、登山道には木漏れ日が差し込み、虫の音や鳥のさえずりが響く、まさに癒しのハイキング日和でした。道中、友人たちと談笑しながら写真を撮り合ったり、お弁当を広げたりして、楽しいひとときを過ごしていました。
しかし、山頂が近づくにつれ、徐々に雰囲気が変わり始めました。普段なら人通りが多いはずの山道に、他の登山者の姿が見当たらなくなり、風が冷たくなってきたのです。辺りは急に静かになり、木々がざわざわと不気味な音を立て始めました。
「なんだか雰囲気が変じゃない?」と、友人の一人が不安そうに言いましたが、誰もそれ以上深く考えず、そのまま進むことにしました。
山頂まではあと少しというところで、突然、彼女たちは道を見失いました。確かに整備された道を進んでいたはずなのに、いつの間にか薄暗い雑木林の中に迷い込んでしまったのです。「ここ、通ったっけ?」と不安が広がり、誰もが黙り込んでしまいました。
その時、遠くの方から「カサカサ…」という音が聞こえてきました。最初は風が木の葉を揺らす音かと思いましたが、その音は明らかに「何かが歩いている」ような足音でした。友人の一人が「誰かいるのかな?」と辺りを見回しましたが、周囲には人影は見当たりません。音は徐々に近づいてきて、まるで彼女たちを取り囲むかのように感じられました。
「ちょっと怖いから、早く戻ろう」と言い出した友人たちに同意し、彼女たちは元の道に戻ろうとしましたが、どちらに進めばいいのかが分からなくなっていました。さらに、霧が立ち込め始め、視界がどんどん悪くなっていきました。「おかしい…こんな天気じゃなかったのに」と彼女は焦り始めました。
その時、彼女の後ろにいた友人が突然「誰かがついてきてる!」と叫びました。振り返ると、霧の中にぼんやりとした人影が浮かび上がっていました。目を凝らして見ましたが、その影はまるで霧と一体化しているようで、はっきりとした輪郭がありませんでした。それでもその影は、確かに彼女たちの方へ向かってきているのが分かりました。
全員が恐怖に駆られ、その場から一斉に走り出しました。進むべき方向も分からず、ただ必死でその場を離れようとしましたが、霧はますます濃くなり、逃げても逃げても、あの影が背後からついてくる気配が消えませんでした。心臓がドキドキと激しく脈打ち、息が切れそうになりながら、彼女たちは走り続けました。
やがて、霧が突然晴れ、彼女たちは元の登山道に出ました。振り返ると、さっきまであったはずの霧も、追ってきたはずの影も、すべて消えていました。全員が息を切らしながら放心状態で立ち尽くしました。
その後、無事に下山した彼女たちは、地元の人にその出来事を話しました。すると、その道はかつて多くの人が道に迷い、そのまま行方不明になったり、遭難したりした場所だと聞かされました。特に霧の日には「帰れなくなる」と言われました。
ただ、地元の人も笑いながら、ただの噂、都市伝説だけどねと言われました。
あの霧の中で見た影が何だったのか、なぜ突然消えてしまったのかは謎のままですが、彼女はその後、二度とその山には行かないと心に誓いました。身近で穏やかに見える山でも、何か不気味な力が存在しているのかもしれません。
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