ある日、クラスメイトたちの間で奇妙な噂が広がり始めた。「夜中、寝ていると耳元でささやき声が聞こえるんだ…」という。その声は、男性、女性、子供など、複数の人々が一斉にささやいているようだという。誰が最初にこの話をしたのかは不明だが、噂を聞いた者は例外なくその恐怖を体験してしまうのだという。
目次
序章:噂の始まり
中学2年生の秋、学校では文化祭の準備で活気に満ちていたが、一方で教室の片隅で不気味な噂が囁かれていた。誰からともなく語られたその噂は、夜中に「耳元でささやく声が聞こえる」という内容だった。この学校で最初にそれを聞いたのは、隣のクラスの男子生徒だった。その生徒は、深夜に突然目を覚まし、部屋の中で誰かがささやく声を感じたのだという。
「最初は、夢か何かだと思ったんだ。でも、だんだんその声がはっきりと聞こえてきて、男も女も子供も混ざってるみたいで、怖くなって布団を頭からかぶったんだ。でも、それでも声が止まらなかった…。」
この話は、すぐに学校中に広まり、次第にその噂を聞いた生徒が次々と同じ体験をするようになっていった。
噂の恐怖
噂を耳にした人間は、必ずそのささやきを聞くという現象は、クラス内で恐怖を巻き起こした。誰もが「聞いたら自分も同じ目に遭うのではないか」と怯えていた。それでも、怖いもの見たさなのか、誰かがその話題を持ち出すと興味本位で耳を傾けてしまう生徒が後を絶たなかった。
そして、その噂は主人公である佐藤和也の耳にも届く。クラスの友達から「和也、あの噂知ってるか? 夜中にささやき声が聞こえるやつ」と話しかけられたとき、和也は興味半分、不安半分でその話を聞いた。友達は続けて言う。「それ、噂を聞いたら絶対に体験しちゃうらしいんだぜ。俺の友達もそれでささやき声を聞いたって言ってたし…。」
その瞬間、和也の背筋に冷たいものが走った。和也はその手のオカルト話が苦手で、何度も「聞かなければよかった」と後悔した。しかし、もう遅い。
恐怖の体験
その夜、和也はなかなか寝付けなかった。気にしないように努めたが、どうしてもささやき声の噂が頭から離れない。ベッドに横たわり、目を閉じても鼓動が早くなるばかりで、眠気は一向に訪れない。そして、時計の針が深夜2時を指したころ、不意に和也は「それ」を感じた。
最初は、かすかな風の音かと思った。だが、それは徐々に明確になり、まるで誰かが耳元で話しかけているような音に変わった。複数の声が交じり合い、低く不明瞭な言葉を繰り返している。和也は目を開けたが、部屋は静まり返り、誰もいない。しかし、その「声」は消えない。
声は次第に大きさを増し、まるで和也を取り囲んでいるかのようだった。しかし、何を言っているかはわからない。
和也は恐怖のあまり、布団を頭まで引き上げ、耳をふさぐ。しかし、それでも声は止まらない。それどころか、ますます近づいてくるように感じた。まるで、布団の中にまで入り込んでくるかのようだった。
翌朝の後悔
なんとか朝を迎えた和也は、冷や汗をかきながらベッドから起き上がった。昨夜の出来事が現実だったのか夢だったのか、未だに判断がつかない。しかし、耳元で囁かれる声の感触は鮮明に残っていた。
学校に行くと、友達が和也に「どうだった? 噂のやつ、聞こえたか?」と興味津々に尋ねてくる。和也は笑って誤魔化したが、内心では「あの噂は本当だ…」と確信していた。
それ以来、和也は噂に関わることを恐れ、他の友達がその話をしているときは耳を塞いでやり過ごすようになった。だが、噂は止まらず、新たな犠牲者を巻き込んで広がり続けていった。
噂を耳にした者が体験し、さらにその恐怖を語ることで新たな被害者を生む…。そのささやきは、まるで人々の恐怖を餌にして広がっていくようだった。唯一の救いはその体験は1回だけで終わること。またそれによって何か悪いことが起こりそうにないこと。ただ、ただ、不気味なささやき声が聞こえるということだった。
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