リゾートバイトで見つけた閉ざされた部屋…古びた写真に隠された恐怖の秘密とは？　（怖い話　奇妙な話　不思議な話）

これは、海辺のペンションでリゾートバイトをしていたDさんが体験した話です。Dさんは大学の夏休みを利用して、友人と一緒にそのペンションで約1ヶ月間働くことになりました。ペンションは観光客に人気のビーチの近くにあり、家族連れやカップルが多く訪れる賑やかな場所でした。

Dさんは主に清掃や朝食の準備などを担当し、仕事は忙しいながらも楽しいものでした。ペンションのオーナー夫婦も親切で、スタッフ同士も仲が良く、和やかな雰囲気の中でバイトは順調に進んでいました。

しかし、バイトを始めてしばらく経った頃、Dさんはある「奇妙な部屋」の存在に気づきました。ペンションには客室が10部屋あり、そのほとんどが満室になるほどの繁盛ぶりでしたが、なぜか一つだけ常に閉ざされたままの部屋があったのです。その部屋は一番奥にあり、鍵がかかっていて誰も入ることができませんでした。

ある日、Dさんはその部屋についてオーナーに尋ねました。「あの部屋はどうして使わないんですか？」と聞くと、オーナーは一瞬だけ表情を曇らせ、「あそこは使っていないんだよ」とだけ答えました。それ以上の説明はなく、何かを隠しているような雰囲気に、Dさんは少し不気味さを感じました。

それ以来、Dさんはその部屋が気になって仕方がありませんでした。そして、友人と一緒にその部屋を探ろうと考え、ある晩、バイトが終わった後に二人で忍び込むことにしました。

深夜、ペンションが静まり返った頃、二人はこっそりとその部屋の前にやって来ました。ドアは固く閉ざされていましたが、なぜかその日は鍵がかかっていませんでした。好奇心が勝り、Dさんはゆっくりとドアを開けました。

中は真っ暗で、部屋には古い家具が乱雑に置かれていました。埃が積もり、カーテンも閉ざされたままで、長い間使われていないことが一目でわかりました。二人は懐中電灯を頼りに部屋の中を調べ始めましたが、特に異常は見当たりませんでした。

しかし、ふと壁際に掛けられた古い写真に気づきました。写真には若い女性が映っており、笑顔でこちらを見つめています。だが、その目にはどこか悲しげな表情が宿っているように感じられました。さらに調べてみると、写真の裏には「M…」というアルファベットの頭文字と、ぼんやりとした日付が書かれていました。

「これ、誰なんだろう…」と友人が呟いたその瞬間、部屋の中で冷たい風が吹き抜けました。窓は閉じていたはずなのにカーテンが揺れ、ガタガタと音を立てました。突然の異変に二人は慌てて部屋を出ようとしましたが、ドアが固く閉まって開かなくなっていたのです。恐怖で震えながらドアノブを何度も回しましたが、びくともしません。

その時、背後から何かが動く音が聞こえました。振り返ると、さっきの写真が床に落ちており、その下には何かが隠れていました。恐る恐る写真を拾い上げると、そこには古びた手紙が挟まれていました。手紙はところどころにシミがあり、文章はほとんど判読できませんが、「許して…」という言葉が辛うじて読み取れました。

二人は恐怖に駆られ、必死にドアを開けようとしました。すると、突然ドアが開き、勢いよく外に飛び出しました。二人は息を切らしながらペンションの廊下を駆け抜け、自分たちの部屋に戻りました。

翌日、二人は昨夜の出来事をオーナーに話すことができませんでした。あの部屋に何があったのか、あの写真の女性が誰なのか、答えはわからないままです。ただ、その後もあの部屋の前を通るたびに、背筋が凍るような寒気を感じたと言います。

リゾートバイトの期間が終わる頃、二人は最後にもう一度オーナーにあの部屋のことを尋ねました。しかし、オーナーは静かに首を振り、「もう気にしないで。あの部屋は忘れてくれ」とだけ言いました。

それ以来、Dさんはあのペンションには二度と近づいていません。楽しい思い出がたくさんあったものの、あの部屋で感じた恐怖は今でも鮮明に記憶に残っているそうです。

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