これは、数年前の夏、大学の友人たちと経験した実際の話です。僕たちは、夜の海でバーベキューを楽しんだ後、何人かで海岸沿いを散歩することにしました。その日は暑く、夜になっても蒸し暑さが残っていたので、海風を感じながらリラックスできる絶好のタイミングだと思ったのです。
時刻は夜の11時を回っていましたが、海岸にはまだ少し人影がありました。僕たちは砂浜を歩きながら、たわいのない話をしていたのですが、途中でふと、海の方から誰かがこちらを見ている視線を感じました。振り返ってみると、波打ち際に一人の女性が立っていました。彼女は薄暗い中でもわかるほど、真っ白なワンピースを着ていて、長い黒髪が潮風に揺れていました。どこか浮世離れした雰囲気があり、なぜか目が離せなくなりました。
「なんか変な感じしない?」と友人の一人が言いましたが、僕たちは特に深く考えず、ただその女性のことが気になっていました。彼女はこちらをじっと見つめたまま、ゆっくりと海に向かって歩いていきます。まるで呼ばれているかのような感覚に襲われ、気がつくと僕ともう一人の友人は、その女性を追うようにして歩き出していました。
しかし、次の瞬間、友人たちが僕たちを強く引き止め、「何やってるんだ!」と声をかけられました。はっと我に返り、女性を探しましたが、すでに姿は消えていました。おかしいなと思いながらも、その場はそれで終わりにして、宿に戻りました。
しかし、ここからが本当に奇妙な体験でした。翌朝、目を覚ますと、前日の夜の出来事がほとんど思い出せないのです。何があったかは断片的にしか覚えておらず、あの女性の姿だけがぼんやりと頭に残っていました。さらに不気味だったのは、一緒にいた友人たちも同じように記憶が曖昧になっていると言うのです。僕たちは一体何を見たのか、そしてなぜ記憶が薄れているのかがまったくわからず、ただ漠然とした不安感だけが残りました。
後日、その海岸について調べてみると、過去に何度か謎の水難事故が起きていたことがわかりました。事故に遭った人の中には、行方不明になったまま戻らないケースもあったとのことです。そして、地元ではその海に現れる「白いワンピースの女性」の噂がささやかれており、彼女を見た者は何かに引き寄せられ、二度と戻れなくなると言われていました。
それ以来、僕たちは夜の海に行くことを避けるようになりました。あの夜、僕たちは何かに「呼ばれた」のかもしれません。今でも夏の夜が来るたびに、あの白いワンピースの女性が脳裏にちらつきます。
マンガ無料立ち読みマンガをお得に読むならマンガBANGブックス 40%ポイント還元中
1冊115円のDMMコミックレンタル!
人気の漫画が32000冊以上読み放題【スキマ】
ロリポップ!
ムームーサーバー
新作続々追加!オーディオブック聴くなら - audiobook.jp
ページをめくってゾッとする 1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ] 価格:1078円 |