これは、大学の夏休みに、仲の良い友人たちと海へ旅行に行ったときの出来事です。僕たちは4人で、少し人里離れた静かな浜辺にキャンプを張ることにしました。観光地の賑わいから離れ、のんびりとした時間を楽しむつもりでした。
初日は何事もなく、昼間は海水浴を楽しみ、夜には焚火を囲んで語り合い、夏を満喫していました。波の音だけが聞こえる静かな夜、満天の星空の下で僕たちは深夜まで過ごし、そのまま砂浜で寝転んでいたのです。
翌朝、友人の一人であるBが、海岸を散歩している途中で何かを見つけて戻ってきました。手に持っていたのは、古びたガラスのボトル。中にはくしゃくしゃに巻かれた紙が入っていて、まるで昔の漂流瓶のようでした。
「これ、めっちゃ古そうだな。中に手紙でも入ってるのかな?」と興奮気味のBは、皆が止めるのも聞かずにボトルの栓を外し、紙を取り出しました。紙は湿気で少しボロボロになっていましたが、どうやら何かが書かれているようでした。
僕たちは興味津々でそれを覗き込みましたが、文字はかすれていて、ほとんど読めませんでした。ただ、うっすらと残る文字から、何か「祈り」や「封じ」といった単語が見えたのです。それを見た瞬間、僕たちの間に不安が広がりました。「これ、何かよくないものなんじゃないか?」と誰かが呟き、全員がその場の空気が重くなったのを感じました。
その後も、僕たちは一応その話題を切り上げて、予定通り観光や食事を楽しむことにしました。しかし、Bの様子が次第におかしくなり始めました。彼はぼんやりとした表情を浮かべ、時折無言で海の方を見つめるようになりました。「どうしたんだ?」と聞いても、返ってくるのは曖昧な返事だけで、次第に話すことすら少なくなっていきました。
その夜、僕たちは再び海辺で焚火をしましたが、Bだけは火から少し離れ、暗闇の中でじっとしていました。誰かが「そろそろ戻ろうか」と声をかけたその時、Bが突然立ち上がり、無表情のまま海に向かって歩き出したのです。慌てて彼を引き止めると、彼は何も言わず、ただ虚ろな目で僕たちを見つめてきました。その目には生気がなく、まるで別人のようでした。
その後、無理やり彼を連れてテントに戻りましたが、夜中にBがうなされながら「返さないと…」「あの声が聞こえる…」と繰り返し呟いていました。翌朝、僕たちはすっかり不安になりました。何をしていいのかはわかりませんが、とりあえず皆ではなしボトルを元の場所に戻すことにしました。
すぐにBを連れて再び海へ向かいました。Bは意識が朦朧としていましたが、ボトルを海に投げ入れた瞬間、急に力が抜けたようにその場に崩れ落ちました。そして、次第に元のBに戻り、「何があったのか全然覚えてない」と言いました。
それ以来、Bは海が怖くなり、僕たちも二度とあの場所には近づきませんでした。あのボトルが何を封じ込めていたのか、そしてそれを解放してしまったことで何が起きたのかは、結局わからずじまいです。ただ一つ言えるのは、あれはただの古びた漂流ボトルではなく、何か強い「意志」が宿っていたのだと感じています。
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