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タイムカプセルから届いたメッセージ―古いパソコンが繋いだ未来と過去のリンク　怖い話　奇妙な話　不思議な話　短編

投稿日：2024年8月26日

体験談：思わぬ形で届いた未来の自分との対話　

ある週末、僕は実家の押し入れを片付けていると、埃をかぶった段ボール箱を見つけました。中を覗いてみると、そこには僕が中学生の頃に使っていた古いノートパソコンが入っていました。年代物のWindows 98搭載機で、当時はずいぶんと大事にしていたものです。

懐かしさに駆られ、試しに電源を入れてみると、驚いたことに無事に起動しました。起動画面には昔の僕が設定した無邪気な壁紙と、いくつかの古いファイルが並んでいました。その中に、「TimeLetter」というフォルダが目に留まりました。まったく記憶にないフォルダ名です。

興味を惹かれてそのフォルダを開いてみると、中には一つだけテキストファイルがありました。ファイル名は「未来の自分へ」。半信半疑でそのファイルを開いてみると、そこには以下のような内容が書かれていました。

『未来の自分へ』

こんにちは、未来の僕。今この手紙を書いているのは2003年、僕は中学生です。今、将来の自分がどんな大人になっているのか、すごく気になっています。夢だったプログラマーになれているのかな？それとも全然違う道に進んでいるのかな？僕が好きだったゲームや音楽、今でも楽しんでいる？

もしこの手紙を読んでいるなら、過去の自分に何かメッセージを送ってほしいです。実は、僕はこのパソコンにちょっとした仕掛けをしておいたんだ。もしあなたがこのファイルを開いたとき、何か新しいメッセージが届くようになっているはず。

それじゃ、また会えるのを楽しみにしてるよ。

過去の僕より

この手紙を読んで、僕は当時の自分の純粋な好奇心に微笑まずにはいられませんでした。しかし、仕掛けだという言葉が気になり、どんなことをしたのか探ってみることにしました。

パソコンの隅々を調べてみると、どうやら「TimeLetter」というプログラムがバックグラウンドで動いていることに気付きました。どうやら僕は、自分でこのプログラムを作り、一定の年月が経った後に自動的にメッセージが表示されるようにしていたらしいのです。僕はすっかり忘れていましたが、当時はプログラミングに興味を持ち始めたばかりで、いろんな実験をしていたことを思い出しました。

何かが起こるのを期待して、しばらくそのまま待っていると、突然画面に新しいウィンドウが表示されました。そこには、白地に黒いテキストで、シンプルなメッセージが書かれていました。

「未来の自分、ちゃんと見つけてくれてありがとう。君が幸せでいるなら、僕も嬉しいよ。」

そのメッセージを見た瞬間、心がじんわりと温かくなりました。過去の自分が、未来の僕に対して送ったエール。時間を越えて届いたそのメッセージは、当時の僕の無邪気な希望や純粋さが詰まっていました。

しかし、話はこれで終わりではありません。さらに数日後、その古いパソコンを再度起動したとき、何も触れていないのに再び「TimeLetter」が動き出しました。今度は、画面が暗転し、ウィンドウに一文だけ表示されました。

「もし今、何か困っているなら、これを使ってみて。」

その後、僕のデスクトップに突然、新しいアプリケーションのアイコンが出現しました。そのアイコンは見覚えのないもので、「Toolbox」とだけ書かれています。興味をそそられ、それをクリックしてみると、簡単なプログラム集が開きました。メモ帳や簡易的なゲーム、そして謎の「問題解決アシスタント」というツールが並んでいます。

この「問題解決アシスタント」を開くと、いくつかの質問に答える形式で、自分の悩みや考えを整理できるような画面が現れました。どうやら、当時の僕が未来の自分を励ますために、プログラムの一環として作っていたようです。幼い頃の僕が、少しでも役立つものを未来の僕に提供したかったという、その思いに感動しました。

実際に使ってみると、このシンプルなプログラムが意外と役立つもので、悩んでいた仕事の課題を整理するきっかけになりました。まさか、中学生の自分が作ったプログラムが今になって僕の支えになるとは思いもしませんでした。

この体験を通じて、僕は過去の自分との対話ができたような気がします。そして、時が経っても人の心に宿る希望や願いは変わらないものなんだなと感じました。

あの古いパソコンは今でも僕の部屋に置いてあります。過去の自分が仕掛けた小さなサプライズのおかげで、僕は今でも時々、その古びたマシンを起動し、当時の思い出に浸ることがあります。過去と未来を繋ぐそのパソコンは、まさに僕にとっての「タイムカプセル」なのかもしれません。

日常の中で、忘れかけていた昔の夢や希望を思い出させてくれる、そんな体験ができるかもしれません。皆さんも、もし古いパソコンが眠っているなら、ちょっと起動してみると面白い発見があるかもしれませんよ。