体験談:終わらない会話の向こうにいるもの
僕はいつものように、深夜に友人たちとオンラインゲームを楽しんでいました。ゲームが終わった後も、雑談をしながらダラダラとチャットを続けていましたが、時計を見るとすでに午前3時を回っていました。友人たちは次々とログアウトし、最後に僕一人だけが残りました。
少し寂しくなった僕は、別のSNSアプリを開いて、新しいメッセージが届いていないか確認しました。その時、見覚えのないユーザーからのメッセージが一つ表示されているのに気付きました。ユーザー名は「NoName」、アイコンは真っ黒なシルエットだけでした。
メッセージの内容はただ一言、
「まだ起きてるの?」
僕は少し驚きましたが、深夜にこんなメッセージを送ってくるのは誰かのイタズラだろうと思いました。無視しようかとも思いましたが、好奇心から「誰?」と返信しました。
しばらく返事はありませんでしたが、突然画面にメッセージが表示されました。
「こっちを見て」
意味が分からず、僕は再び「誰?」とメッセージを送りましたが、その瞬間、画面が一瞬真っ暗になり、次に表示されたメッセージには、こう書かれていました。
「そこじゃない」
何かが背後でカサッと音を立てた気がして、反射的に後ろを振り返りましたが、もちろん誰もいません。心臓が早鐘のように鳴り、背中に冷たい汗が流れました。それでも、画面に目を戻すと、新しいメッセージが届いていました。
「気づいてる?」
そのメッセージと同時に、パソコンのモニターが突然ノイズ交じりになり、画面にかすかな影が映り始めました。暗い部屋の中で、何かがぼんやりと揺れているように見えます。慌ててその影に目を凝らしましたが、よく見ると、それは僕の部屋と同じレイアウトの場所でした。
まるで、今いる部屋をカメラ越しに映しているかのように感じました。動悸が激しくなり、僕は必死にウィンドウを閉じようとしましたが、次々と新しいメッセージが表示され続けました。
「まだ見えていない」
「もっとよく見て」
「近づいてくるよ」
その瞬間、僕の部屋のドアがゆっくりと開く音がしました。確かにロックしていたはずのドアが、ギィィッという音を立てて少しだけ開いているのです。僕は動けないまま、モニターを見つめ続けました。画面には再び新しいメッセージが表示されました。
「後ろにいる」
恐怖で凍りついた僕は、モニターの電源を切ることさえできませんでした。パニック状態で目を閉じましたが、その背後で何かがスーッと動く音が聞こえた気がします。やがて、部屋は静寂に包まれ、恐る恐る目を開けてみると、画面には一言だけメッセージが残されていました。
「また会おうね」
それから、パソコンは自動的にシャットダウンされました。深夜の静けさの中、僕はしばらく身動きできませんでした。全てが終わった後も、あの「NoName」というユーザーのメッセージが頭から離れません。
翌朝、落ち着いた後でパソコンを再起動してみましたが、そのユーザーとのチャット履歴はどこにも残っていませんでした。SNSのアカウントをいくら探しても「NoName」という名前は存在せず、まるで最初からそんな相手はいなかったかのようでした。
しかし、それ以降、深夜になるとまた誰かがチャットを始めようとしているような、ふいに画面に浮かび上がる不気味な影がちらつくことがあります。まるで、再びあの“何か”がコンタクトを取ろうとしているように感じられて、パソコンを開くのが怖くなりました。
ネットを介して繋がる世界には、顔の見えない無数の人がいますが、その中には“人”ではない何かが紛れ込んでいることもあるのかもしれません。もし、あなたの元に見知らぬ誰かからのメッセージが届いたら、その背後に何が潜んでいるのか、よく考えたほうがいいでしょう。
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