森田裕樹(もりた ゆうき)は、深夜に一人で過ごすのが好きだった。昼間の仕事が終わると、自宅に戻り、パソコンの前で映画や動画を観てリラックスするのが日課だった。しかし、その夜はいつもと違う出来事が起こった。
時計が午前1時を過ぎた頃、裕樹はふと、パソコンの通知音が鳴ったことに気づいた。新しいメールが届いたらしい。普段ならこんな時間にメールを確認することはないが、何か気になり、メールを開いてみた。
送信者の名前は「匿名」とだけ表示されていた。メールの本文には何も書かれておらず、ただ一つのリンクが貼られているだけだった。怪しいと思いつつも、裕樹は好奇心に負けてそのリンクをクリックしてしまった。
すると、画面には黒い背景の動画が再生され始めた。最初は何も映っていなかったが、次第に白いノイズが入り、やがて映像が浮かび上がってきた。それは古びた家の中の様子で、カメラは不安定に揺れていた。裕樹は画面に釘付けになり、息を飲んだ。
映像の中で、カメラはゆっくりと家の中を進んでいく。薄暗い廊下、散乱した家具、そして壁には何かが書かれていた。よく見ると、「見てはいけない」と、かすれた文字で書かれている。その文字を見た瞬間、裕樹の心臓は強く鼓動し始めた。映像はさらに進み、カメラは一つの扉の前で止まった。
扉はゆっくりと開かれ、中には狭い部屋が映し出された。部屋の中央には古びたテレビが置かれており、その画面は砂嵐になっている。突然、テレビがパッと映像を映し出した。それは、暗い森の中を彷徨う人影だった。その人影は、まるで何かから逃げているかのように、絶望的な速さで走っていた。画面が一瞬揺れると、人影が地面に倒れ込む様子が映し出された。画面はそこで一瞬止まり、次の瞬間には何かがその人影に覆いかぶさった。
そこで映像は途切れ、画面が真っ黒になった。裕樹は恐怖で身動きが取れなかった。だが、その時、パソコンの画面に奇妙なことが起こった。画面に映っていた暗い部屋が、まるで現実の部屋のように鮮明に映し出され始めたのだ。そして、その部屋の中に何かが動いているのが見えた。
画面を覗き込むと、それは人の姿だった。だが、その顔は何か異常で、目が異様に大きく、笑みが不気味に歪んでいた。映像の人物は、まるで裕樹を見ているかのようにこちらを凝視し、ゆっくりと口を開いた。
「見てしまったね…」
その声は低く、どこか機械的で、裕樹の耳に直接響くような感覚を引き起こした。彼は恐怖のあまり、画面を閉じようとしたが、マウスが動かない。画面はそのまま、次の映像に切り替わった。今度は、映像の中でカメラが自分の部屋に向かって進んでいるのが映っている。裕樹の呼吸は荒くなり、全身に冷たい汗が滲んだ。
カメラが彼の部屋のドアの前で止まった。まるで、その映像がリアルタイムで進行しているかのように感じた。扉がゆっくりと開かれ、映像は部屋の中に入っていく。画面には、裕樹自身がパソコンの前に座っている姿が映っていた。
「どうして…こんなことが…」
裕樹はパニックに陥り、何とかしてパソコンをシャットダウンしようとした。しかし、全ての操作が無効になり、画面は彼を見つめ続ける。突然、カメラが激しく揺れ、映像の中の彼自身に何かが襲いかかる瞬間が映し出された。次の瞬間、画面は真っ黒になり、パソコンの電源が切れた。
部屋は暗闇に包まれ、裕樹は凍りついたように座り込んでいた。だが、ただ一つ、彼の背後で「カタ…カタ…」という音が鳴り響き始めた。まるで、何かが部屋の中に入ってきたかのような音だった。
恐怖に駆られた裕樹は振り向くことができなかった。ただその音がどんどん近づいてくるのを感じた。心臓の鼓動が耳元で響き、視界が暗くなり始めた。その瞬間、部屋の中に冷たい風が吹き込んだかのような感覚に襲われ、彼の意識は遠のいていった。
次に目を覚ました時、裕樹は自分のベッドで横たわっていた。周りを見渡しても、異常は何もなかった。ただ一つ、パソコンの画面が真っ黒なまま、電源が入らない状態になっていた。そして、メールの受信箱には、あの匿名からのメールが再び届いていた。
メールには短いメッセージが添えられていた。「これで終わりじゃない…」
それ以来、裕樹はそのメールが毎晩届くようになった。彼は恐怖に打ちひしがれ、眠れない日々が続いた。そして彼が恐れるのは、そのメールを開いてしまった時、何が起こるのかということだった。
深夜に届く見知らぬメール――それを開いた時、あなたの人生は二度と元には戻らないかもしれません。
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