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屋根裏の秘密 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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佐藤和也は、妻と7歳の娘、遥と共に郊外の静かな町に引っ越してきました。新しい家は古いけれど、広々としており、特に2階にある小さな屋根裏部屋が和也のお気に入りでした。和也はその屋根裏部屋を物置として使おうと考えていましたが、遥はその部屋をとても気に入った様子で、よくそこで遊んでいました。

引っ越しから数週間が経ち、家族は新しい生活に慣れてきました。和也は毎日仕事から帰ってくると、遥が楽しそうに屋根裏部屋で遊んでいるのを見て、微笑ましく思っていました。しかし、ある日、妻が少し心配そうに和也に話しかけてきました。

「ねぇ、最近遥がよく『友だちができた』って言ってるの。誰かと遊んでるみたいなんだけど、近所の子たちの話じゃないのよ」

和也はそれを聞いて少し驚きました。遥はもともと明るく社交的な子でしたが、新しい家に来てからは特に一人で遊ぶことが増えていたのです。それでも、和也はあまり気にせず、ただの空想の友だちだろうと考えていました。小さな子供によくあることだと。

しかし、次の日の夜、和也は仕事から帰宅すると、屋根裏部屋から遥の話し声が聞こえてきました。彼女が楽しそうに誰かと会話している様子が伺えました。和也は不思議に思い、屋根裏部屋の扉を開けてみました。そこには、遥が一人で座りながら、誰もいない空間に向かって話しかけている姿がありました。

「遙、誰と話してるんだい?」和也が尋ねると、遥はにっこりと笑って答えました。「パパ、ここにいるカズくんだよ。彼と一緒に遊んでるの。」

和也は一瞬、背筋が寒くなるのを感じました。「カズくん」という名前を聞いたことがないからです。和也は「カズくんって誰?」と尋ねました。すると、遥は無邪気に「カズくんは屋根裏に住んでるんだよ。わたしと同じ年で、ずっとここにいるんだって。」と答えました。

和也はその話を聞いて不安になりました。彼はただの空想の友だちだろうと思いたかったものの、どこか心の奥底で違和感を感じていました。その晩、和也は妻とその話を共有しましたが、妻もまた不安を隠し切れませんでした。

翌日、和也は会社からの帰りが少し遅くなりました。家に着くと、再び屋根裏部屋から遥の笑い声が聞こえてきました。和也は階段を上り、扉をそっと開けて中を覗きました。遥は部屋の隅に座り、再び「カズくん」と話している様子でした。和也はその光景に何とも言えない恐怖を感じ、声をかけることもできず、そのまま扉を閉めてしまいました。

その夜、和也は決心し、屋根裏部屋を調べることにしました。遙が眠りについた後、和也は懐中電灯を手に屋根裏部屋へ向かいました。狭い部屋の中は埃っぽく、古びた木材の匂いが漂っています。和也は部屋の隅々を調べましたが、特に異常は見当たりませんでした。しかし、何かが彼を見ているような視線を感じ、背中に冷たい汗が流れました。

その時、何かが背後で動く音がしました。和也が振り向くと、遥がいつも話していた場所でした。ただ、当たり前ですが、そこには何もありませんでした。

その翌朝、和也は決心しました。この家から引っ越すべきだと。彼はすぐに妻に話し、引っ越しの準備を始めることにしました。遥には何も言いませんでしたが、彼女が「カズくん」との別れを惜しむ様子を見て、和也は心が痛みました。

家族が新しい家に引っ越した後、和也はようやく安堵の息をつきました。遥も新しい環境に慣れ、「カズくん」のことは忘れたようでした。しかし、和也は時折、夜中に目を覚まし、あの屋根裏部屋で聞いた遥の笑い声が耳に残ることがありました。まるで、「カズくん」が今も誰かを待っているかのように…。



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