怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

心霊スポットでの代償 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

投稿日:

田中誠は、仕事のストレスを発散するために、友人たちと遊びに行くのが日常だった。お酒を飲んだり、ドライブに出かけたり、時には少しスリリングなことをするのが彼らの楽しみだった。ある晩、誠と数人の友人は、地元で有名な心霊スポットへ行くことを決めた。彼らはその場所について「怖い話があるけど、どうせ何も起こらないだろう」と軽い気持ちで捉えていた。

目的地は山中にある古びた廃墟のような場所で、昔は誰かが住んでいたらしいが、今は打ち捨てられているという。夜中にその場所に行き、ちょっとした冒険気分を味わおうと考えていた誠たちは、怖さを感じながらもどこか興奮していた。廃墟に到着すると、彼らは懐中電灯を手に建物の中を探索し始めた。

建物の中は湿っぽく、かすかにカビ臭い空気が漂っていた。床が軋み、壁にはひび割れが走っている。誰も住んでいないはずなのに、どこかに人の気配を感じるような異様な雰囲気があった。誠は友人たちとふざけ合いながら奥へ進んでいったが、次第にそのふざけた気分が不安に変わっていった。

「なんか…嫌な感じがするな…」

誠がそう言うと、他の友人たちも同じような感覚を抱いていることに気づいた。廃墟の奥にある一室に入ったとき、突然、全員の懐中電灯が一斉に消えた。真っ暗闇の中、誠たちは動揺し、何とかライトを点けようとしたが、なかなか点かない。

その瞬間、誠は背後に何かがいるのを感じた。背筋が凍りつき、振り返ることができないまま、冷たい風が背中を通り過ぎるのを感じた。次の瞬間、耳元でかすかな声が聞こえた。

「ここから…出ていけ…」

それは冷たく低い声で、まるで彼らを拒絶するかのようだった。誠たちは恐怖で体が硬直し、声も出せなかった。ようやく懐中電灯が点いたとき、誠は仲間たちと一斉に外へ逃げ出した。

それ以来、誠は奇妙な体験に悩まされるようになった。夜になると誰かに見られているような気配を感じ、寝室の窓が開く音や、誰かが廊下を歩く音が聞こえるようになった。最初は疲れからくる幻覚だと思っていたが、次第に体調も悪化し始めた。

頻繁に頭痛やめまいに襲われ、食欲もなくなり、体重も減っていった。何より、夜中に目が覚めるたびに感じるあの「気配」が、彼をさらに追い詰めていった。自分が何かに取り憑かれているのではないか、そんな考えが頭をよぎるようになり、次第に日常生活にも支障をきたすようになった。

ついに限界を感じた誠は、病院を訪れて診察を受けた。医師からは疲労やストレスが原因だろうと診断され、入院して休むように言われた。誠は渋々病院に入院することにしたが、病院でも不安感は消えなかった。

入院して数日が過ぎたが、体調は一向に改善せず、逆に悪化しているように感じられた。そして、ある夜、誠はこれまでで最も恐ろしい体験をすることになった。

その夜、病室の灯りを消し、ベッドに横たわった誠は、いつものように不安な気持ちを抱えていた。窓の外で風が吹き、木々がざわめく音が聞こえていたが、突然、それとは別の音が病室の中で響き始めた。何かがベッドの下で動いているような、かすかな音だった。

誠は恐る恐る目を開けたが、部屋の中は暗く何も見えない。心臓が激しく鼓動し、息が詰まりそうになった。音は次第に大きくなり、ベッドの周りを這うように移動していた。そして、突然、ベッドの端に冷たい何かが触れたのを感じた。

「もう勘弁してくれ…」

誠は心の中で叫んだが、その瞬間、誰かがベッドの上に乗り上げてくるのを感じた。それは重く冷たい感触で、まるで何かが彼を押しつぶそうとしているかのようだった。誠は恐怖で体が硬直し、声も出せず、ただ必死でその「何か」に謝罪を繰り返した。

「ごめんなさい…許してください…もう二度としません…」

彼は何度も何度も心の中で謝り続けた。すると、その冷たい感触が次第に薄れていき、重さも消えていった。ようやく体が動くようになった誠は、全身汗びっしょりで起き上がり、何が起こったのかを確認するために部屋を見回したが、何も異常はなかった。体力の限界を感じた誠は、そのまま意識を失った。

翌朝、誠が目を覚ますと、驚くほど体調が良くなっていることに気づいた。頭痛やめまいは完全に消え、体も軽く感じられた。医師もその回復に驚き、検査の結果、特に異常は見つからなかった。

「何があったんだろう…」

誠は考えたが、昨夜の恐怖体験が頭から離れなかった。あの時、必死で謝ったことが良かったのだろうか。それとも、何か他の力が働いたのだろうか。彼にはそれが何なのか分からなかったが、一つだけ確かなことがあった。

「もう二度と、あんな心霊スポットには行かない…」

誠はそう心に誓った。遊び半分で挑んだ心霊スポットが、これほどまでに恐ろしい代償をもたらすとは思っていなかった。彼はそれ以来、霊的なものに関しては慎重になり、二度と軽い気持ちでそんな場所に足を踏み入れることはなかった。



■おすすめ

マンガ無料立ち読み

マンガをお得に読むならマンガBANGブックス 40%ポイント還元中

1冊115円のDMMコミックレンタル!

人気の漫画が32000冊以上読み放題【スキマ】


ロリポップ!

ムームーサーバー


新作続々追加!オーディオブック聴くなら - audiobook.jp



ほんとうにあった怖い話「年上の彼女」



ページをめくってゾッとする 1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ]

価格:1078円
(2024/7/23 13:25時点)
感想(1件)



-怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集
-, , , , ,

Copyright© 映画・ドラマ・本・怖い話・奇妙な話・不思議な話・短編・ガールズ戦士シリーズ・Girls2(ガールズガールズ)などの紹介・感想ブログです。 , 2024 All Rights Reserved Powered by STINGER.