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こっくりさんに誘われた夜――恐怖が現実に変わった瞬間 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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私は小学生の頃、クラスの友達と「こっくりさん」に興味を持ち始めた。当時、オカルトや都市伝説に惹かれる年頃で、放課後に友達と集まっては、誰かが聞いた怖い話を共有していた。そんな中で、「こっくりさん」は一種の儀式として、私たちの間で流行し始めた。

ある日、クラスの一人が「こっくりさんをやってみよう」と言い出した。最初はみんな笑って冗談のように話していたが、好奇心に勝てず、放課後に教室に残って実際にやってみることに決めた。私たちは教室の隅に集まり、誰もいないことを確認してから机の上に紙と10円玉を用意した。

「本当にやるの?」と不安げな顔をした友達が尋ねたが、みんなの期待と好奇心が勝り、誰も止めようとはしなかった。紙には「はい」「いいえ」「鳥居」と平仮名の五十音が書かれていた。私たちは神妙な面持ちで10円玉に指を置き、心の中で少しだけ恐怖を感じていたが、止めることはできなかった。

「こっくりさん、こっくりさん、いらっしゃいますか?」

私たちは声を揃えてそう唱えた。教室は夕方の薄暗い光に包まれており、窓の外の風が揺れる音だけが響いていた。最初は何も起こらず、私たちは少し拍子抜けしたような気分になった。

「やっぱり、何もないよね…」と誰かが言いかけたその瞬間、10円玉がゆっくりと動き始めた。

「う、動いた…!」

一瞬、全員が固まった。誰も動かしていないのに、10円玉は確かに動いていた。教室の静けさが一層増し、背筋に冷たいものが走った。心臓が高鳴るのを感じながら、私たちは次の質問を投げかけた。

「こっくりさん、あなたはここにいますか?」

10円玉はゆっくりと「はい」の方に動いた。その瞬間、教室全体に不気味な雰囲気が漂い始めた。誰も声を発しなくなり、ただじっと10円玉を見つめていた。

「私たちに何か伝えたいことがありますか?」

またしても10円玉は「はい」に動いた。私たちは互いに顔を見合わせ、次に何を聞くべきかを考えた。誰もが怖がっていたが、その怖さが逆に私たちを引き留め、さらに質問を重ねることにさせた。

「何を伝えたいの…?」

その質問を投げかけた瞬間、10円玉は急に速く動き始めた。紙の上を滑るように動き、次々と文字を指し示した。私たちは息を呑みながら、その動きを見守った。

「き」「お」「つ」「け」「て」

「気をつけて…?」

意味の分からない警告に、私たちは一層混乱した。誰に対しての警告なのか、何に気をつけるべきなのか、その答えを求めようとした時、10円玉が再び「はい」に動いた。

その瞬間、教室のドアが急に開いた。外には誰もいない。風が吹き込んで、教室の中の空気が急に冷たく感じられた。私たちは全員、驚きと恐怖で一斉に立ち上がり、10円玉に指を置いていた手を離してしまった。

「やめよう! もう終わりにしよう!」

誰かが叫んだ。全員がその言葉に同意し、私たちは急いで10円玉を紙から取り外し、こっくりさんを終わらせる儀式をしようとした。しかし、紙を片付ける前に、突然教室の電気が消えた。私たちは暗闇の中で固まった。

「これ、誰かのイタズラ?」

誰かが不安げに問いかけたが、誰も答えられなかった。放課後の少しくらい教室の中で私たちはただ立ち尽くし、次に何が起こるのかを恐れた。そして、窓の外からかすかに何かの囁き声が聞こえてきたような気がした。誰かが「聞こえた?」と囁いたが、全員がその場で震え上がっていた。

「もう、帰ろう…」

全員が同意し、私たちは教室を飛び出して家に帰った。その夜、私はなかなか寝付けなかった。あの「気をつけて」という言葉が頭の中で何度も響き、教室で起こった出来事が現実なのか悪夢なのか分からなくなっていた。

その翌日、学校に行くと、昨日のメンバー全員が同じように青白い顔をしていた。誰もが不安そうで、明らかに何かを恐れている様子だった。私たちは無言のまま、それぞれの席に着いた。誰一人として、昨日のことを口にしなかった。

しかし、その日の放課後、私たちはまた集まり、今度は真剣に話し合った。昨日の出来事は偶然の連続だったのか、それとも本当に何かが起こったのか。最終的に私たちは、こっくりさんを「ちゃんと」終わらせなかったことが原因だという結論に至った。

その日は全員で再び教室に集まり、こっくりさんをきちんと終わらせることにした。紙と10円玉を用意し、全員が神妙な面持ちで儀式を始めた。今度は手順を間違えないよう、慎重に行った。

「こっくりさん、こっくりさん、お帰りください。」

私たちは何度もそう唱えた。すると、10円玉がゆっくりと動き、「鳥居」の文字に止まった。私たちはほっと息をつき、これで全てが終わったと信じた。

その日以降、教室で何かが起こることはなかった。私たちはこっくりさんのことを二度と話題にせず、それぞれの日常に戻った。だが、あの日の「気をつけて」という言葉は、今でも心に引っかかっている。

一体何に気をつけるべきだったのか、あの出来事は本当にこっくりさんが起こしたものだったのか。今でも答えは見つからないままだが、あの夜、私たちが経験した恐怖は決して忘れることができない。



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