呪われた道具――こっくりさんが残した恐怖の証怖い話奇妙な話不思議な話短編集 - 映画・ドラマ・本・怖い話・奇妙な話・不思議な話・短編・ガールズ戦士シリーズ・Girls2(ガールズガールズ)などの紹介・感想ブログです。

呪われた道具――こっくりさんが残した恐怖の証　怖い話　奇妙な話　不思議な話　短編集

投稿日：2024年8月29日

中学生の頃、私は友達とよくオカルト話を楽しんでいた。学校の帰り道や放課後に集まっては、都市伝説や怪談話に興じていた。そんなある日、私たちは「こっくりさん」をやってみようという話になった。怖い話が大好きだった私たちは、こっくりさんもただの遊びの一つとして軽く考えていた。

その日の放課後、私たちは誰もいない教室に集まった。参加メンバーは私、リーダー格のユウキ、いつも明るいマリ、そして少しおとなしいケイコの4人だった。教室の隅に座り、机の上に紙と10円玉を置いた。紙には「はい」「いいえ」「鳥居」と五十音が書かれており、準備は万全だった。

「本当にやるの？」とケイコが不安そうに尋ねたが、ユウキが「怖がるなって、ただの遊びだよ」と笑いながら答えた。私たちは少し緊張しながらも、10円玉に指を置いて、こっくりさんを始めた。

「こっくりさん、こっくりさん、いらっしゃいますか？」

声を揃えて唱えると、教室の中は一瞬静まり返り、緊張が高まった。何も起きないと思っていた私たちの予想を裏切り、10円玉がゆっくりと動き始めた。

「動いた…」

驚きと興奮が交錯する中、私たちは質問を続けた。こっくりさんが何かを伝えようとしていることに気づいたからだ。いくつかの質問に答えた後、こっくりさんは「おわりにしてください」と動きを止めた。

「おわりに…？」

「何か意味があるのかな？」とユウキが呟いたが、私たちは怖くなり、すぐにこっくりさんを終わらせることにした。

「こっくりさん、こっくりさん、お帰りください。」

私たちは何度もそう唱え、10円玉が「鳥居」の文字に戻るのを見届けた。その後、急いで道具を片付け、特に何も起こらなかったことに安堵しながら家に帰った。

しかし、その夜、私は奇妙な夢を見た。暗い教室で、再びこっくりさんをしている自分たちの姿が浮かんできた。夢の中で、10円玉が紙の上を滑るたびに、不気味な音が耳元で囁かれた。「のろい」という言葉が何度も響き、私は恐怖に目を覚ました。汗でびっしょりになっていたが、夢だと自分に言い聞かせ、再び眠りに落ちた。

次の日、学校に行くと、教室の雰囲気が何かおかしいことに気づいた。昨日のこっくりさんのことが頭から離れず、私は机の中に入れたままだった紙を取り出してみた。

「これ、変だ…」

紙は、昨日のものとはまるで違っていた。白かったはずの紙が、茶色く変色しており、まるで何年も放置されていたかのように古びていた。さらに驚いたのは、紙の端が焦げたように黒ずんでおり、何か焼け焦げたような臭いがかすかに漂っていた。

「こんなこと、ありえない…」

私は驚きと恐怖で手が震えた。何かのイタズラかと思い、他のメンバーにも確認しようとしたが、誰もその紙に触れようとはしなかった。ユウキが「昨日はこんなじゃなかったよな」と呟いたが、誰もどう対処すればいいのか分からず、ただその紙を見つめるだけだった。

次に、10円玉に目を向けた。昨日使った10円玉は、ユウキが持ち帰っていたはずだったが、彼も異変に気づいたようだった。彼がポケットから取り出した10円玉は、まるで何かに浸かったように色が変わり、鈍い黒光りを放っていた。さらに、よく見ると10円玉の縁が歪んでおり、全体がわずかに波打っているように見えた。

「これ、本当に昨日使ったやつか？」

ユウキも不安げに呟き、10円玉を見つめた。ケイコとマリもそれを見て顔を青ざめ、私たちは皆が同じ恐怖を感じていた。

「やめよう、もうこっくりさんなんてやらない方がいい…」

ケイコが震え声で言ったが、全員がその意見に同意した。何かが起こっている、それだけは確かだった。

その後、私たちはこっくりさんのことを二度と話題にしないようにした。しかし、奇妙なことはそれだけでは終わらなかった。数日後、ユウキが10円玉を持ち帰った日に怪我をしたと聞いたのだ。彼は階段から足を踏み外し、足をひどく捻挫してしまったという。ユウキはその10円玉を捨てようとしたが、何かに引き留められるような感覚があって捨てられなかったと話していた。

さらに、こっくりさんに使った紙が突然消えてしまうという奇妙な現象も起こった。彼女がそれを確認しようとした時、紙は完全に消え失せており、どこにも見当たらなかった。私たちは一層不安を感じ、こっくりさんが私たちに何かを残していったのではないかと恐れるようになった。

その後、私たちはあの日使った道具を処分することにした。紙はすでに消えてしまったので、10円玉を川に捨てた。しかし、心の中には不安が残り続け、あの異変が再び現れるのではないかという恐怖が消えなかった。

それから何年も経ったが、こっくりさんをした日から少しずつ始まった奇妙な出来事は、今でも私の記憶に深く刻まれている。道具が呪われているかのように変わっていく恐怖は、私たちに二度とこっくりさんをしようとは思わせない強烈な教訓となった。