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忘れられたブランコ――公園に佇む呪われた遊具 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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私は、都会の喧騒を逃れるため、週末には静かな場所を求めて散歩することが多い。特にお気に入りの場所が、少し離れたところにある小さな公園だった。緑が豊かで、訪れる人も少なく、自然の中で静かに時間を過ごせるところが気に入っていた。

ある土曜日の午後、私はその公園へ向かった。いつものように、木々に囲まれた小道を歩きながら、自然の香りと静寂を楽しんでいた。しかし、その日は何かが違っていた。公園に入った瞬間から、妙な寒気を感じたのだ。空は晴れているのに、背筋に冷たいものが走る感覚が拭えなかった。

公園を歩いていると、ふとした瞬間に目に留まったのが、古びたブランコだった。私は何度もこの公園に来ていたが、そのブランコを見たのは初めてだった。公園の奥まった場所に、ぽつんと一つだけ佇んでいた。錆びついた鎖が風に揺れ、ぎいぎいと不気味な音を立てていた。

「こんなブランコ、あっただろうか…」

私は不思議に思いながらも、近づいてみた。近づくにつれて、ブランコの異様な雰囲気が増していくのを感じた。周囲の木々は風でざわめき、何かがこの場所に集まってくるような気配を感じた。

ブランコに手を伸ばしてみると、錆びた鎖が冷たく、ざらついた感触が指先に伝わってきた。まるで何かが私を遠ざけようとしているかのような圧迫感があったが、私はその感覚を振り払おうとした。

しかし、その瞬間、周囲の音が一切消えた。鳥のさえずりも、風の音も、何もかもが静まり返り、世界が止まったかのようだった。私は背筋が凍る思いで周りを見渡したが、誰もいないはずの公園に、かすかに人影が見えた。何かが私を見ている。

その人影は、ブランコの隣に立っていた。ぼんやりとした輪郭しか見えず、顔もはっきりとは分からなかったが、その視線がこちらに向けられているのは明らかだった。恐怖が一気に押し寄せ、私はすぐにその場を離れようとしたが、足が動かなかった。何かが私の足を地面に縛り付けているようだった。

次の瞬間、ブランコがひとりでに揺れ始めた。風もないのに、ぎいぎいと音を立てながら前後に揺れている。その揺れが次第に激しくなり、まるで誰かが乗っているかのようだった。私はその場から逃げ出したかったが、恐怖で身体が動かなくなっていた。

やがて、ブランコの揺れが止まり、再び静寂が訪れた。その瞬間、私はようやく足が動くようになり、一目散に公園の出口へと走り出した。心臓が激しく鼓動し、呼吸が乱れるのを感じながら、私は無我夢中で逃げ続けた。

公園の外に出たとき、ようやく足を止めた。振り返ると、そこにはいつもの静かな公園が広がっていた。ブランコのあった場所を確認しようとしたが、木々に隠れて見えなかった。

家に帰ってからも、あのブランコの光景が頭から離れなかった。あの時見た人影は何だったのか、どうしてブランコがひとりでに揺れたのか。答えは出ないままだったが、あの公園に何かがいることは確かだった。

その後、私は公園に足を運ぶことを避けるようになった。友人に話しても信じてもらえず、自分でもあれが幻覚だったのではないかと疑うことがあった。しかし、あの冷たくざらついた鎖の感触と、背後から感じた視線の恐怖は、現実のものだったと確信している。

あの日見たブランコは、忘れ去られた過去の記憶なのか、それとも公園に囚われた何者かの怨念なのか。答えを見つけることはできなかったが、あの場所に再び近づくことは絶対にないと心に決めた。



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