怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

こっくりさんが残した言葉 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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あの日、私たちは放課後の教室に集まって「こっくりさん」を始めた。参加したのは、私とユウタ、ケンジ、そしてミホの4人。怖いもの見たさの好奇心から始まった遊びだったが、私たちは次第に本気でこっくりさんの存在を感じ始めた。

「こっくりさん、こっくりさん、いらっしゃいますか?」ユウタが声をかけると、教室は一瞬、静寂に包まれた。

10円玉は、すぐにゆっくりと動き出した。私たちは息を飲み、指先に感じる微かな震えに緊張が走った。10円玉は「はい」に止まり、私たちは続けて質問を始めた。

「こっくりさん、私たちに何か伝えたいことがありますか?」

再び10円玉が動き、次々と文字を指し示していく。それはゆっくりと、まるで考えながら書かれているようだった。示された言葉は「か」「え」「ら」「な」「い」。

「帰らない…?」

その言葉に、教室の雰囲気が一変した。ふざけ半分だった私たちは、急に恐怖を感じ始めた。ユウタが「もう終わりにしよう」と提案し、私たちは全員がそれに同意した。

「こっくりさん、こっくりさん、お帰りください。」

私たちは急いでそう唱え、10円玉が「鳥居」に戻るのを確認してから、道具を片付けた。安堵のため息をつき、私たちは急いで教室を後にした。

しかし、その夜、私は奇妙な夢を見た。薄暗い教室の中で、再びこっくりさんをしている自分たちがいた。夢の中で、10円玉が再び動き出し、紙に示された言葉は「か」「え」「ら」「な」「い」。それを見た、その瞬間、私は目を覚ました。

冷や汗をかきながら、夢だったと自分に言い聞かせたが、不安が消えなかった。翌日、学校に行くと、ユウタが青白い顔をして「俺も昨夜、変な夢を見たんだ」と言った。

それから数日間、私たち全員が同じような夢を見続けた。夢の中で、10円玉が「かえらない」と何度も示し続ける。まるで、こっくりさんがまだ私たちを離れていないかのようだった。

最終的に私たちは、もう一度集まり、こっくりさんを再度行い、丁寧にお帰りいただくことにした。その後、奇妙な現象は徐々に収まり、夢も見なくなった。

しかし、あの時のこっくりさんが「帰らない」と言った意味は、今でも分からないままだ。私たちは、こっくりさんを軽く扱ってしまったことに深い後悔を感じ、二度とその遊びをすることはなかった。



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