怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

あなたも体験するかも…学校の公衆電話で起きた恐怖の出来事 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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学校の校庭の片隅に、古びた公衆電話ボックスが一つあった。昔は頻繁に使われていたが、スマートフォンの普及で今ではほとんど誰も使うことはなくなっていた。しかし、最近になってその公衆電話をめぐって生徒たちの間で奇妙な噂が広がり始めた。

「夜になると、あの公衆電話から誰かの声が聞こえるらしいよ…」

「一人でいると、『こっちに来い』って囁かれるって…」

そんな噂が広がる中、実際に電話から奇妙な声を聞いたという生徒が次々と現れ、学校内は少しの騒動になっていた。生徒たちは不安を感じ、教師たちも困惑していた。

その中で、国語教師である佐藤先生は、事態を放置するわけにはいかないと感じた。学校全体の雰囲気を悪くしてしまう前に、何とかしてこの噂を解決しなければならない。しかし、佐藤先生には心の奥底にある好奇心もあった。生徒たちが口々に語る不気味な声がどんなものなのか、実際に確かめてみたいという気持ちが彼を突き動かしていた。

ある日放課後、佐藤先生は校庭の片隅にある公衆電話ボックスへと足を運んだ。夕日が沈みかけ、校庭はオレンジ色に染まっていたが、公衆電話ボックスはその光から逃れるように陰に隠れていた。ボックスは古びており、ガラスは少し汚れていて、電話機も色褪せていた。

佐藤先生は深呼吸をし、心を落ち着けようとした。自分は大人であり、冷静な判断ができるはずだと自分に言い聞かせ、恐る恐る受話器を取り、耳に当てた。

最初は無音だった。古い機械特有のわずかなノイズが聞こえるだけで、何も異常は感じられなかった。しかし、しばらくして突然、受話器からかすかな声が聞こえ始めた。

「助けて…」

佐藤先生はぎょっとした。声はとても小さく、遠くから響いているように聞こえた。彼は耳をさらに近づけ、注意深く聞き取ろうとした。

「ここから…出られない…助けて…」

声は明らかに苦しんでいるようで、佐藤先生の胸に不安が広がった。この声はどこから来ているのか?誰が、こんなところで助けを求めているのか?彼の脳裏に無数の疑問が浮かんだ。

「どうか…こっちに来て…一緒に…」

その瞬間、背後で急に風が吹き、木の葉がガサガサと音を立てた。佐藤先生は驚いて振り返ったが、そこには誰もいなかった。再び受話器に耳を当てると、今度は声がはっきりと聞こえた。

「ここに来て…一緒に…ここに…」

その声は今度は懇願するような調子から、命令的な響きを帯びていた。まるで強制的に呼び寄せられているような感覚が佐藤先生を襲った。彼は急に恐ろしくなり、受話器を思わず切った。受話器は電話機に戻ると同時に「ガチャン」という音が静かな校庭に響いた。

佐藤先生は息を整え、頭を振って冷静さを取り戻そうとした。しかし、どうしてもあの声が頭から離れない。急いでその場を後にし、学校の校舎へと戻ったが、背後から誰かに見られているような感覚が彼を付きまとった。

その夜、佐藤先生は眠れなかった。暗闇の中で何度もあの声が蘇り、頭の中を支配した。「一緒に…」という言葉が何度も繰り返され、その度に彼の胸は締め付けられるようだった。

翌日、佐藤先生は何事もなかったかのように授業を行ったが、心の中では不安が渦巻いていた。あの公衆電話が一体何を意味しているのか、そしてあの声が本当に何者だったのか、彼には知る術がなかった。ただ一つ確かなことは、もう二度とあの公衆電話に近づかないと心に誓ったことだった。




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