私が大学生だった頃、友人のユウタと夜中によく電話で話していました。お互い夜更かしが好きで、授業が終わった後、夜遅くまで雑談をしていたのです。ある晩、特に何の予定もなかった私は、ユウタに電話をかけました。
「もしもし、ユウタ?今、話せる?」
いつもならすぐに出るはずのユウタが、その日は少し遅れて電話に出ました。彼の声は普段と変わらず、少し疲れた様子だったけど、特に気にすることはありませんでした。しばらくの間、最近の出来事や授業の話をしていたのですが、突然ユウタが話題を変えました。
「なあ、最近、変な夢を見てるんだ。家の中を誰かが歩き回ってる夢なんだけど…」
ユウタの話に少し興味を持ちました。「家の中で誰かが?それって、幽霊とかそういうやつ?」
「うん、そうかもしれない。見えないんだけど、足音が聞こえてくるんだ。俺の部屋の外で、誰かがずっと歩き回ってる。でも、起きた時には何もないんだよ。ただ、ドアの前でじっとしてる気配だけが残ってる。」
私は少し不安になりながらも、笑いながら応えました。「それは怖いな。誰かに呪われたんじゃない?」
ユウタは苦笑いを浮かべて、「かもしれないな」と言いましたが、その声にはどこか不安が滲んでいました。
その夜はそれで電話を終え、翌日も普通に過ごしました。しかし、その翌日から、ユウタと連絡が取れなくなりました。電話をかけても出ないし、メッセージにも返信がありません。大学でも彼の姿を見かけず、友人たちも彼の行方を知らないということでした。
一週間ほど経って、私は心配になり、ユウタのアパートを訪ねることにしました。彼のアパートのドアは鍵がかかっており、中からは物音一つ聞こえてきません。私はドアをノックし、名前を呼びましたが、応答はありませんでした。
「おかしいな…」
仕方なく大家さんに相談し、鍵を開けてもらいました。中に入ると、部屋はまるでユウタが外出したまま帰っていないかのように整然としていました。しかし、違和感がありました。部屋には妙な寒気が漂い、まるで誰かがいるかのような気配を感じたのです。
ベッドの横には、ユウタのスマホが落ちていました。画面は割れており、電源が入らない状態でした。それを手に取った瞬間、私の心臓は一瞬止まりました。スマホの裏面には、爪で引っ掻いたような深い傷がいくつもついていたのです。
さらに部屋を調べていくと、クローゼットのドアが半開きになっていました。何気なくそのドアを開けると、私は声を上げて後ずさりしました。クローゼットの奥には、何かがこびりついていました。血のように赤黒い手形が、クローゼットの内側にびっしりとついていたのです。
私はその場で背筋が凍りつき、部屋から逃げ出しました。外に出ると、冷たい汗が流れ落ち、足が震えていました。ユウタに何が起こったのか、全く理解できませんでした。
その後、警察に連絡しましたが、ユウタは結局見つからず、行方不明のままです。彼の家族や友人たちはみんな心配し、捜索が続けられましたが、手がかりはありませんでした。あの部屋で何が起こったのか、誰にも分からないままです。
最後に、私がユウタのアパートから離れる前に、彼のスマホが手元にあるのを思い出し、電源を入れようとしました。奇跡的に一度だけ画面が点灯しました。その瞬間、私の血の気が引きました。
画面には、ユウタからの最後のメッセージが表示されていました。それは、彼が電話を切った直後に送られたものだったようです。
「助けて。あいつが来た。」
メッセージはそれだけでした。それを見た瞬間、私はスマホを落とし、すぐにその場を離れました。
ユウタは一体、何に追われていたのか。彼の話していた夢は、実際に現実で起こっていたのか。あの部屋には、一体何が潜んでいたのか。
その答えは、永遠に謎のままです。今でも、夜になると、あのユウタの声が聞こえてくるような気がして、眠れない夜が続くことがあります。あの夜、ユウタと話した内容が、すべての始まりだったのかもしれないと思うと、胸が締めつけられるような恐怖を感じます。
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