私が体験した中で、今でも忘れられない出来事があります。それは、ある心霊スポットで拾った1本のフィルムがきっかけでした。大学生の頃、私は友人たちと心霊スポット巡りを趣味にしていました。幽霊なんて信じていなかったので、怖がる友人たちをからかいながら、一緒にスリルを楽しんでいたんです。
ある晩、私たちは地元で有名な「〇〇トンネル」に行くことにしました。このトンネルは、過去に多くの事故が起きたと言われており、亡くなった人々の霊が現れると噂されていました。私はそれをただの都市伝説だと思っていたので、特に気にせず、トンネルの奥まで進んでいきました。
トンネルの中は不気味でしたが、私たちはいつものように笑いながら写真を撮り、冗談を言い合っていました。その時、足元に何かが転がっているのを見つけました。それは古びたフィルムでした。泥で少し汚れていましたが、まだ使えそうな状態で、私は興味本位でそれを拾いました。
「誰かがここでフィルムを落としたのか?」と友人たちに話しましたが、みんな興味を示さず、早く帰ろうというばかりでした。私だけが、なぜかそのフィルムに強く惹かれ、帰り道でもずっと気になっていました。
数日後、私はそのフィルムを現像してもらうことにしました。何が映っているのか好奇心が抑えられず、現像が出来上がるのを心待ちにしていました。現像が完了し、私は写真を受け取りました。しかし、その写真を見た瞬間、背筋が凍りつきました。
写真には、私たちが行ったあのトンネルが何度も写っていました。暗く荒れ果てたトンネルの内部が、何枚も角度を変えて撮影されていたのです。撮影された場所は、まさに私たちが数日前に歩いた同じ場所でした。だが、その中にひとつ、異常な写真があったのです。
それはトンネルの奥を撮影した1枚の写真でした。ぼんやりとした影が写真の中央に映っていて、よく見ると、それは人の形をしていました。最初はピンボケだと思いましたが、影は次第に写真を追うごとに明確になっていきました。写真を見進めるごとに、その影は少しずつカメラに近づいてきているように見えたのです。
最後の数枚の写真は、はっきりとした顔がカメラを覗き込むように映っていました。無表情で、瞳のない真っ黒な目がこちらを見つめていました。写真を見ていると、その冷たい視線が今まさに自分を貫いているかのように感じ、思わず手が震えました。
その夜から、奇妙なことが起こり始めました。部屋の中で不気味な気配を感じるようになり、夜中になると、トンネルで感じた冷たい風を思い出させるような異常な寒さが部屋を包み込みました。最初は気のせいだと思おうとしましたが、日を追うごとに状況は悪化しました。
ある晩、寝ていると、突然耳元でかすかな囁き声が聞こえました。目を開けると、ベッドの横に人影が立っているのが見えました。暗闇の中で、その影はじっと私を見下ろしており、トンネルで見たあの無表情な顔がそこにありました。驚愕して飛び起きた時には、その影は消えていましたが、心臓の鼓動が収まらず、夜通し眠れませんでした。
その後、写真を焼却しようとしましたが、焼却するために手に取った瞬間、写真の中の顔が一瞬動いたように見えました。恐怖で写真を手放し、すぐに袋に詰めて処分しましたが、それでも怪奇現象は止まりませんでした。家中で物音がしたり、誰もいないはずの場所で足音が聞こえたりするのです。
私はこの出来事を誰にも話すことができず、ただひたすら耐えるしかありませんでした。それ以来、フィルムカメラを使うことは避けるようになり、心霊スポットにも行かなくなりました。
あのフィルムには何かが宿っていたのか、それとも拾った瞬間から呪われていたのかは分かりません。ただ、私にとって、それは決して解けない謎と恐怖の始まりでした。
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