ドライブの途中、何気なく通りかかった小さなペットショップ。特に買うつもりはなかったけれど、ガラスケース越しに並ぶ動物たちの姿に、ついつい足を止めてしまう。
店内をぐるりと見渡していると、一際目を引くうさぎがいた。他のうさぎよりも少しだけ高価な値段札がついている。ふっくらとした体と、くるんとした大きな耳が何とも可愛らしく、思わず見とれてしまう。
店員さんに声をかけ、そっとケースに触れてみる。すると、中のうさぎは鼻をクンクンさせて、こちらをじっと見つめてきた。生暖かい息が指先に伝わり、温かい気持ちがこみ上げてくる。
「この子、すごくいい子なんですよ」
店員さんの言葉に、迷わず購入を決めた。新しい家族との出会いに、胸が躍る。
家に着くと、新しいうさぎのために用意しておいたケージにそっと入れてやる。最初は警戒していたのか、隅に丸まってじっとしている。しばらくすると、ケージの隙間から顔を出し、こちらをじっと見つめてきた。
名前はまだ決めていない。しばらく様子を見てから、ぴったりの名前を付けてあげよう。
数日後、名前を「モモ」と呼ぶことにした。ふっくらとした体つきが桃に似ている気がしたからだ。モモは少しずつ心を開いてくれ、今では私の膝の上で丸くなって眠るようになった。
ある朝、いつものようにモモに声をかけると、いつもより大きな声で鳴いた。不思議に思い、ケージの中をのぞき込むと、モモは私の顔をじっと見つめてくる。
「どうしたの、モモ?」
そう言うと、モモは私の手を鼻でつついた。何を求めているのか分からず、戸惑っていると、モモはケージから飛び出して、私の部屋の中を走り回った。
そして、私の書斎にたどり着くと、ある本の上に座り込んだ。それは、私が最近読んでいる小説だった。
「まさか、この本を読みたいって?」
半信半疑で本を手に取ると、モモは嬉しそうに私の手を鼻でつついた。
「本当にそうだったんだ!」
私は、モモと一緒にその小説を読み始めた。モモは私の肩に顔を乗せ、ページをめくるたびにクンクンと鼻を鳴らす。まるで、一緒に物語を楽しんでいるようだった。
それからというもの、モモは私の生活に彩りを添えてくれる存在になった。疲れていると、私のそばに来て寄り添ってくれる。嬉しいことがあった日には、一緒に喜びを分かち合ってくれる。
ある日、仕事で大きなプレゼンを控えていた。緊張で眠れない夜、モモはいつも以上に私のそばにぴったりとくっついていた。
「モモ、ありがとう。おかげで少し安心できたよ」
そう呟くと、モモは私の手を優しく舐めてくれた。
プレゼンの日、私はモモからの温かい気持ちを胸に、ステージに立った。そして、無事にプレゼンを終えることができた。
プレゼン後、同僚から「今日のプレゼン、いつも以上に良かったね」と褒められた。
「それは、モモのおかげかな」
そう心の中で呟くと、自然と笑顔がこぼれた。
モモとの出会いは、私にとって小さな奇跡だった。モモは、ただのかわいいペットではなく、私をいつも見守り、励ましてくれるかけがえのない存在になった。
これからも、モモと一緒にたくさんの楽しい思い出を作りたい。
■おすすめ
マンガ無料立ち読み
マンガをお得に読むならマンガBANGブックス 40%ポイント還元中
1冊115円のDMMコミックレンタル!
人気の漫画が32000冊以上読み放題【スキマ】
ロリポップ!
ムームーサーバー
新作続々追加!オーディオブック聴くなら - audiobook.jp
ページをめくってゾッとする 1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ] 価格:1078円 |