無人駅で囁かれた謎の声…背後に潜む瞳が語りかける恐怖の体験とは?
その夜、私は終電を逃してしまい、仕方なく地方の無人駅で次の列車を待っていた。人通りの少ない静かな駅、人気のないホーム、暗闇が辺りを包む駅舎は、まるで時間が止まったかのように感じられた。わずかに聞こえるのは、風がトンネルを通り抜ける音と、遠くの線路がわずかに軋む音だけだった。
ホームには私一人。誰もいないのに、どこか視線を感じた。
初めは気のせいだろうと思っていたが、その視線は徐々に強くなっていき、背中に針を刺すような感覚が生じた。嫌な予感がして周囲を見渡すが、当然ながら誰もいない。ただの無人駅のホームだ。
「おかしいな…」と呟きながら、私はベンチに座ってスマホを取り出した。時間を確認し、列車が来るのを待つ。しかし、どうしてもその「視線」の感覚は消えなかった。
ふとした拍子に、自分の後ろ姿を確認しようと思い、スマホのカメラをセルフィーモードにして背後を映してみた。画面を見て、私はその場で息を呑んだ。
背中に「目」が見えたのだ。
暗いホームの背景に、自分の背中から浮かび上がるように、くっきりとした「瞳」が一つ映り込んでいた。何かがじっと私を見つめている。スマホの画面越しにそれを確認した瞬間、全身に寒気が走った。身体は凍りつき、思わずスマホを手から落としそうになった。
その目は、どこか冷たく、異常なほど大きな瞳孔がゆっくりと動きながら、じっと私を見続けていた。私は動揺し、何度も振り返ったが、現実の背後には何もない。だが、スマホの画面に映る「目」だけは確かに存在し、私を追いかけてきていた。
その時だった。
「ズズ……キュゥゥ……ダゾォロ……」
耳元で、低くかすれた声が囁かれた。まるで誰かがすぐ近くに立って、何かを伝えようとしているかのような声だった。背後に誰もいないと分かっていても、身体は動かず、恐怖で声も出せなかった。
「ズズ……グワァ……ズズズ……」
意味不明な囁きが、ますますはっきりと耳元に響く。声は徐々に強まり、まるで背中に貼りついた「目」が自分に直接話しかけてくるかのようだった。
「ダゾォロ……ガァ……キュゥゥ……」
その時、限界を迎えた私は、慌ててホームを走り出した。辺りに誰もいないはずの無人駅が、まるで生き物のように息づき、私を取り囲むような感覚に襲われた。
恐怖で何も考えられなくなった私は、駅の出口に飛び出し、携帯電話で友人に電話をかけた。震える手でダイヤルし、ようやく繋がった時、背中から感じていた囁き声は突然消え、スマホに映っていた「目」も消えていた。
友人の声を聞いた瞬間、恐怖が一気に薄れていった。どうしてそんなことが起こったのか、何が「目」の正体だったのか、私は混乱しながらも安心した。
その後、私が待っていた終電が無事に到着し、何とか家に帰ることができた。しかし、それからというもの、無人駅の出来事は私の心に深く刻まれた。背中に感じた「目」と意味不明な囁きが、幻覚や夢のようなものではなかったことは確信している。背中の「目」は、今もどこかで私を見つめ続けているのかもしれない。
ただ、あの日以来、背中に視線を感じることはなかった。しかし、ふと無人の場所で一人になる時、その目が再び現れるのではないかという恐怖が、心の奥にひっそりと残っている。
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