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不気味な階段:見えない何かに追い詰められた夜 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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誰もいないはずの階段で聞こえた足音…山奥の神社で体験した恐怖の出来事

それは、大学時代の夏休みのことだった。私は友人のリョウと二人で、田舎の祖父の家に遊びに行くことにした。祖父の家は山奥にあり、昔ながらの木造建築が特徴的で、周りには自然が広がっている。静かな環境で、都会の喧騒から離れてゆっくり過ごすつもりだった。

到着した日は特に何もなく、のんびりと過ごした。夜には虫の声が聞こえ、風が木々を揺らす音が心地よかった。次の日、リョウが「この辺りに古い神社があるらしいから、行ってみよう」と提案してきた。特にすることもなかったので、私たちは昼間にその神社を探しに行くことにした。

祖父に場所を聞くと、少し遠いが歩いて行ける距離にあるという。私はそれほど興味があったわけではなかったが、リョウは興味津々だった。

山道を歩くこと30分ほど、ようやくその神社に辿り着いた。鬱蒼とした木々に囲まれ、鳥居も苔むしており、明らかに長い間誰も訪れていない様子だった。神社そのものは小さく、社殿もボロボロで、見た目はまさに「放置された場所」という感じだった。

「思ったよりすごい雰囲気だな…」リョウが興味深そうに言った。

私は不気味な空気を感じたが、リョウは気にせずに神社の階段を上り始めた。私はなんとなくその場に違和感を覚え、リョウに声をかけた。

「ここ、なんか気味が悪いな。早めに戻ろうよ。」

リョウは笑いながら「怖いのか?」と言い返し、先に進んでいった。私はしぶしぶ彼について行くことにした。

神社の奥に進むと、階段が続いていることに気づいた。そこはさらに山の中へと続く道で、階段がずっと上に向かって延びている。リョウは興味津々で、その階段を上ろうとした。

「ちょっと待って、もうやめとこうよ。変な感じがする…」

しかし、リョウは「これを上ったらもっと面白いものが見られるかもしれない」と笑いながら無視して階段を上り始めた。仕方なく、私も彼の後を追った。

階段はどこまでも続いていた。最初は無邪気に上っていたリョウも、だんだんと疲れてきたのか、息を切らしていた。私も同様で、足が重くなり、額から汗が流れ落ちていた。

それに、奇妙なことに気づいた。どれだけ上っても、階段が終わらないのだ。後ろを振り返ると、下の景色は見えず、霧がかかったようにぼんやりとしている。

「リョウ、戻ろう。これ、やばいよ…」

リョウも何かを感じたのか、急に無言になり、黙って頷いた。私たちは急いで階段を下り始めた。しかし、下るのもおかしいくらい長い。さっきよりも階段が増えているように感じた。

そして、背後からかすかな「足音」が聞こえ始めた。最初は私たちが焦っているからだと思ったが、その足音は私たちが止まっても、まだ聞こえてくる。

「誰か…ついてきてるのか?」

リョウが震え声でつぶやいた。その瞬間、私の背筋に冷たいものが走った。振り返る勇気がなかったが、確かに「何か」が私たちの背後を追ってきている感覚があった。

「走れ!」

私たちは一斉に階段を駆け下り始めた。後ろを確認することなく、ただ足を動かし続けた。足音はさらに近づいてくる。それが人なのか、何なのか、考える余裕もなく、ひたすら階段を駆け下りた。

ようやく神社の鳥居が見えた時、足音がピタリと止んだ。振り返っても、何もいない。ただ、鳥居の向こう側に何かが「いる」と感じた。私たちは恐怖に駆られ、そのまま祖父の家まで一気に戻った。

家に戻ると、祖父が心配そうに出迎えてくれた。

「お前たち、あの階段を上ったのか…?」

あの階段で何が起こったのか、今でもはっきりとはわからない。ただ、あの足音だけは、今も耳にこびりついて離れない。



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