「最近、またあの夢を見るんです…」
心療内科の診察室で、私はいつものように先生の前に座っていた。部屋には静かな音楽が流れ、心が少しだけ落ち着く。先生は私の顔を見つめ、穏やかな声で尋ねた。
「どんな夢なんですか?」
私はため息をつき、話し始めた。
「毎回、同じような会議室で、知らない人たちと一緒に終わらない会議をしているんです。会議のメンバーは、誰も知りません。見たこともない人たちばかりで…でも、みんな私と普通に会話しているんです。」
先生は頷きながら、さらに問いかけた。
「その会議では、どんな議題を話し合っているんですか?」
「それが、議題が毎回不思議なんです。例えば、『どうやって空を歩けるか』とか、『雲の味を決める』みたいな、現実ではありえない内容ばかりなんです。でも、みんな真剣に話し合っていて……時間がどれだけ経っても、終わりが見えないんです。」
先生は少しメモを取りながら聞き続けた。
「その夢の中では、時間の経過を感じますか?」
「はい、ものすごく長く感じます。時計を見ても、針がほとんど動かなくて、永遠にその会議が続いている感覚です。しかも、出たいと思っても体が動かなくて……ただ座っているしかないんです。」
先生はしばらく考え込んでから、次の質問をした。
「その会議室の雰囲気や音はどうですか?何か他に印象的なことはありますか?」
「会議室は普通のオフィスのようで、机や椅子、ホワイトボードがあって、窓はありません。音もほとんどなく、メンバーが話している声だけが響いています。でも時々、静寂が訪れて、その瞬間、耳鳴りのような音がするんです。それがとても不気味で…」
先生は少し頷き、さらに質問を続けた。
「そのとき、どんな感情が湧いてきますか?不安や焦り、それとも他の感情ですか?」
「焦りと、何とも言えない閉塞感です。会議が永遠に続くのに、逃げ出すこともできないんです。立ち上がろうとしても体が重くて動かない……まるでその場に縛りつけられているような感じで。」
先生は少し考えた後、再び口を開いた。
「その夢の中で、何か特別な出来事が起きたり、他に気になることがありますか?」
「特に誰かが何かをするわけではないんですが、たまに部屋の外で音がするんです。誰かが入ってくるんじゃないかって思うんですけど、結局誰も来ません。そして、また会議が続くんです。」
「会議が終わらないという状況が、現実の生活で何かに関連していると感じることはありますか?」
「そうかもしれません。最近、仕事で締め切りに追われていて、終わらないプロジェクトがいくつもあるんです。でも、この夢の中では、もっと漠然とした恐怖や不安があって……ただ、終わりが見えないことが何より怖いんです。」
先生は深く頷き、優しい声で話を続けた。
「その会議が終わらないということが、現実で感じているストレスやプレッシャーを象徴しているのかもしれませんね。あなたの心がその不安を夢の形で表現している可能性があります。」
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