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霊感を持つ男アキラが語る、霊的なのかどうかわからない…でも確かに感じた異様な恐怖 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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喫茶店に集まった私とリョウは、いつものようにアキラの話を楽しみにしていた。彼の話はいつも得体のしれない恐怖を感じさせるが、今回のアキラは少し違った。何かを思い返すように、いつもより少し沈んだ表情をしていた。

「今日話すのは、正直言って、俺自身も最後まで何があったのかよくわからない話だ。霊的なものだったのか、単なる偶然なのか…今でも判断がつかない。でも、あの時感じた恐怖は、普通じゃなかった。」

アキラが語り出すと、私とリョウはすぐにその世界に引き込まれた。

「数年前、知り合いの紹介で、ある古いビルの調査依頼を受けた。都内の一角にあるそのビルは、何十年も前から空き家になっていた。オフィスビルとして使われていたが、ある事件をきっかけに誰も入らなくなり、そのまま放置されていたんだ。」

「事件?」リョウが興味津々に聞いた。

「そう、事件があった。詳しいことはわからないが、ビルの中で何人かが亡くなったらしい。それで、しばらく経ってからオーナーがビルを売りに出すことになったんだけど、内見に来た人たちが口を揃えて『このビルはやめる』と言うんだ。その理由は…中に入ると何とも言えない不快感と、説明できない恐怖を感じるって。」

アキラは少し間を置いてから続けた。

「オーナーはその噂を耳にして、俺に調査を頼んできた。何か見えないものが原因でビルが売れないなら、取り除いてほしいってな。でも、俺は最初、その依頼には消極的だった。何度かそういう類の依頼を受けたことはあるけど、ビル全体に何かがいるって話は初めてだったからな。」

私たちは黙ってアキラの言葉を待っていた。

「結局、俺はそのビルに行くことになった。昼間だったけど、ビルの外観は古びていて、どこか異様な雰囲気が漂っていた。入口は広く開いていて、中は薄暗かった。最初に入った瞬間、何か空気が『変』だってことに気づいたんだ。普通のビルの中とは違う、妙な湿気と重さがあった。」

アキラの語りに、私とリョウはその場所の異様な空気を感じ取るかのように、身を乗り出して聞いていた。

「ビルの中を歩いていると、静かすぎるんだ。外の音が全く聞こえない。それに、妙な冷気が流れてきた。俺はすぐに霊的なものがいるかどうか確認しようと思って集中したが、その時点では何も感じなかった。だから、単なる古い建物がもたらす不気味さだと思い込もうとしたんだ。」

「でも、次第にその感覚が変わってきた。ビルの中央にあるエレベーターに近づいた時、突然『誰かに見られている』という強烈な感覚が襲ってきた。振り返ったけど、誰もいない。だけど、その視線は消えないんだ。まるで、背後に立っている何かがじっと俺を見つめている感じだった。」

リョウが少し緊張した声で聞いた。「それ、霊的なものだったのか?」

アキラはゆっくりと首を振った。「わからない。確かに何かの気配は感じたが、霊だと確信できるものはなかった。ただ、その視線が消えないんだ。エレベーターの前に立っていると、どこかの階から『何かが降りてくる』ような気がした。俺はエレベーターのボタンを押さなかった。でも、その時、不意にエレベーターが動き出したんだ。」

「…誰も押してないのに?」私は驚いて聞いた。

「ああ、誰も押してない。でも、エレベーターは地下の方から動いて上がってきた。俺はその場で立ち尽くして、エレベーターが来るのを見ていた。中がどうなっているのか気になったが、正直、怖かった。でも、もう逃げ出すわけにもいかなかった。」

アキラの声が少し低くなる。

「エレベーターが到着して、ドアがゆっくりと開いた。中は真っ暗で、誰もいない。だが、その空間の中に何か『重いもの』が感じられた。まるでそこに空間が歪んでいるような、何かが存在しているかのような…でも、姿は見えない。」

私とリョウはその場面を想像して、全身に寒気を感じた。

「俺はそこに入るのを躊躇したが、調査のためだから仕方なくエレベーターに乗り込んだ。エレベーターの中は冷たく、異様に息苦しかった。自分の呼吸の音だけがやけに大きく響いていたんだ。でも、エレベーターが動き出す瞬間、突然ドアがガタン!と音を立てて閉まり、闇の中に取り込まれた感覚に襲われた。」

アキラの顔には、その時の恐怖がはっきりと残っていた。

「そのまま、俺は一階に戻ったが、エレベーターの中にいた時間は実際には数秒のはずだった。でも、外に出た時、時計を見て驚いた。15分以上経っていたんだ。俺はその時間の感覚に全く気づいていなかった。」

「霊だったのか?」私は思わず尋ねた。

アキラはゆっくりと頭を振った。「わからない。確かに感じたのは異常な視線と、空間の歪み。でも、それが霊的なものだったのか、それ以外のものだったのか。ただ、一つ言えるのは、あの場所にいた時の恐怖感は本物だった。説明がつかないけど、何かに取り込まれたような感覚があったんだ。」



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