俺は警備員としてこの倉庫で夜勤をしている。もう10年以上この仕事を続けているから、夜の暗い倉庫も慣れたもんだ。別に怖がりでもないし、ちょっとした物音や影にビクつくこともない。どちらかと言えば無口で、淡々と仕事をこなすタイプだ。けれど、そんな俺でも、忘れられない出来事がある。
あれは、いつも通り夜中の巡回をしていた時のことだ。倉庫は広く、巨大な棚や段ボールが積み上がっていて、昼間でも迷いそうなほど複雑だ。特に夜は、静かで冷たい空気が漂い、人気がない分、余計に物音が響く。
その夜も、いつも通り倉庫内を見回っていた。最初は何も異常はなかったんだが、奥の方で突然、コツ…コツ…と規則正しい足音が聞こえてきたんだ。こんな深夜に、他に誰かいるはずがない。俺は一瞬、誰かが侵入したのかと思い、足音の方に向かっていった。
音が聞こえる方へ近づくと、足音はだんだんと大きくなり、やがて視界に入ってきたのは…信じられない光景だった。膝下だけの足が、何もない空間を歩いているんだ。誰かの足だけが、まるで普通に歩いているかのように、一定のリズムでコツ…コツ…と音を立てて進んでいる。
全身が固まってしまい、動けなかった。まさかこんな現象が目の前で起こるなんて、俺はどうすることもできなかった。ただ、その足が俺のすぐ横を通り過ぎていくのを見守るしかなかったんだ。
足が通り過ぎると同時に、足音も消えた。辺りはまた静まり返り、何事もなかったかのような雰囲気に戻ったんだが、あの光景は今でも鮮明に覚えている。
それ以来、あの倉庫で夜中に巡回するたび、あの足がまた現れるんじゃないかと、少しだけ身構えてしまうんだ。
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