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古い機械の音 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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俺が警備員として夜勤で働いている倉庫には、古い機械がいくつも残されている。昔使われていたらしいが、今では誰も手をつけていない。ただ、捨てるのも手間がかかるからと、そのまま放置されている状態だ。

特に大きな機械が一つ、倉庫の奥に鎮座している。それは、何かの加工機のようなもので、重厚な鉄の外装が今も錆びつきながらも存在感を放っている。昼間に見ればただの古い機械だが、夜になるとその機械から奇妙な音が聞こえてくるんだ。

俺が最初にその音に気づいたのは、勤務を始めて1ヶ月ほど経った頃だった。夜中の巡回中、静まり返った倉庫の中で、どこかから「ギ…ギギ…」という金属がこすれるような音が響いてきた。最初は倉庫の外で工事でもしているのかと思ったが、音は倉庫の奥から聞こえているようだった。

不審に思い、音のする方へ歩いていくと、その大きな機械の前に辿り着いた。機械は当然動いていないはずなのに、その周囲だけが冷たい空気に包まれていた。まるで、機械そのものが生きているかのように、不気味な存在感を放っていた。

「ギ…ギギ…」

再び音が聞こえる。明らかにこの機械からだ。俺は好奇心と不安が交じった気持ちで、その古い機械をじっと見つめた。動いているわけでもないのに、何かが内部でこすれているような音が止まらない。ひとまず安全確認のため、機械に近づいてみると、突然「ガタン!」という大きな音が鳴り響いた。

驚いて後ずさりすると、機械の一部がゆっくりと動いたように見えた。だが、それが錯覚だったのか本当に動いたのかは、確認できなかった。何か異常が起こったのかもしれないと思い、俺は一度警備室に戻って管理人に連絡を取ろうとした。

だが、その時、倉庫の全ての照明が突然消えた。

倉庫の中は真っ暗になり、俺の心臓は一気に鼓動を早めた。急いで懐中電灯を取り出し、辺りを照らすが、そこには巨大な機械の無機質なシルエットが浮かび上がるだけだった。しかし、耳を澄ますと、今度は機械の内部から「カチャカチャ…」という小さな部品が動くような音が聞こえてくる。

この音は何かがおかしい。こんなに古い機械が、電源も入っていないのに動くはずがない。それでも音は止まらず、むしろ次第に大きくなっていくようだった。まるで誰かがその機械を操作しているかのような、連続的な「カチャ…ギギギ…」という音。

俺は背筋に寒気を感じ、すぐにその場を離れようとした。しかし、背中を向けた瞬間、また「ガタン!」と大きな音が鳴り響き、何かが機械の内部から落ちたような音がした。

恐る恐る振り返ると、機械の足元に古びた金属片が転がっていた。俺は懐中電灯をその金属片に向け、しゃがみ込んでそれを確認しようとした。だが、触れる直前、機械の内部から、低いうなり声のような音が響いてきた。

「ウゥゥ…」

それは機械の中からではなく、まるで何かがその機械の中に閉じ込められているかのような音だった。俺は直感的に、ここにいては危険だと感じ、その場を離れることにした。急いで警備室に戻り、すぐに管理人に連絡したが、管理人は機械が動くはずがないと言い張るだけだった。

翌日、倉庫の点検が行われたが、何も異常は見つからなかった。だが、それ以来、夜になるとあの機械から奇妙な音が聞こえることが増えた。そして、その音は日に日に大きくなっていくように感じる。

今では、倉庫の中であの機械の近くに行くことは、決してしないようにしている。なぜなら、その機械の音が、ただの機械音ではないと、俺にははっきりと分かっているからだ。



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