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気づかない日常:バス事故からの奇妙な日々 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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数週間前、僕たちは仲間と一緒に小旅行に出かけた。バスでの移動中、友人のタケル、ユウジ、ミカと笑いながら、次の遊びの計画を立てていた。何も特別なことはない、普通の休日。バスは田舎道を走り、景色は穏やかで天気も良く、すべてが平和だった。だが、その時、突然の衝撃が僕たちを襲った。

耳をつんざくようなクラクション、急に揺れるバス、次に気づいた時には、バスが側道に転がり込んでいた。友人たちの叫び声や、ガラスが割れる音が響いていたが、そこから記憶がぼんやりとしている。事故が起きたのはわかったが、詳細は思い出せないままだ。

次に意識が戻ったのは、自分のアパートのベッドの上だった。何事もなかったかのように、いつもの部屋で目を覚ましたのだ。しばらくぼんやりしていたが、ふと「事故にあったはずなのに、どうして無傷なんだ?」という疑問が頭をよぎった。

幸い、身体には怪我一つない。どうやら大事には至らなかったようだ。事故の記憶がぼんやりと曖昧だったため、何もなかったことにして普通の生活に戻ろうとした。学校にも通い、日常が再開されたはずだった。しかし、すぐに奇妙なことに気づき始めた。

周りの人が僕に反応しない。

いつもは道端で挨拶を交わしていたご近所さんが、僕の方を見ても返事をしない。学校でも、クラスメイトたちが僕に目を合わせようとせず、すれ違うときにも完全に無視される。まるで、僕がそこに存在しないかのように振る舞っているのだ。

唯一、普通に接してくれるのは、タケル、ユウジ、ミカの3人だった。彼らとは今まで通り、何の変化もなく話をしているし、学校でも一緒に昼食を取ることができた。事故の後、友人たちがこうして変わらず一緒にいてくれるのはありがたかったが、それでも周りの反応があまりにおかしい。

ある日、耐えられなくなって、僕は他の友人や家族に連絡を取ることにした。電話をかけたり、メッセージを送ったりしたが、誰一人として返事をくれない。唯一反応してくれたのは、バスに一緒に乗っていたタケル、ユウジ、ミカだけだった。

「なんで他のみんなは無視するんだろう?」
僕はタケルに相談してみたが、彼も答えに詰まった様子だった。「さあな…気にするなよ。俺たちはここにいるんだからさ」と笑顔で返してくれるが、心の中では何かがおかしいと感じ始めていた。

そんなある日の昼休み、僕たちはいつものように昼食を食べていた。クラスメイトたちがグループを作り、楽しそうに話している中、突然、彼らの話題が僕たちの方に向けられた。

「この前のバス事故のこと、知ってる?」
「ええ、あれ、本当にひどい事故だったよな。あの事故で乗ってた全員、亡くなったらしいよ…」
「そうそう、しかも、なんか未だに事故現場付近で見かけたって噂もあるんだって」

その瞬間、僕の心臓が止まったように感じた。

「亡くなった…?」

頭の中でクラスメイトの会話がぐるぐると巡り始める。僕たちが遭ったあのバス事故…「全員亡くなった」という話が、耳から離れない。まさか、僕たちが…?

不安を胸に抱えながら、僕はタケルたちを見つめた。しかし、彼らはいつも通り、昼食を楽しんでいる様子だった。けれど、その瞬間、奇妙な違和感が僕の中で爆発した。クラスメイトたちが「亡くなった」と話しているその事故で、僕たちも確かに乗っていた。

「なあ…俺たち、あの事故の後、どうやって帰ってきたんだ?」
僕の声は震えていた。タケルは一瞬戸惑った表情を見せたが、すぐに笑顔を浮かべた。「気にするなよ、そんなの。とにかく今はこうして普通に生きてるじゃないか」

その笑顔が、急に不自然に見えた。違和感が増していく。どうやって帰ってきたのかも思い出せないし、どうして僕たちだけが普通に生活できているのかも説明がつかない。何もかもがぼやけている。

僕は立ち上がり、周りを見渡した。クラスメイトたちは、やはり僕たちの方を見ようともしない。僕たちは、彼らにとって存在しないかのようだった。そして、その時、恐ろしい真実が頭に浮かんだ。

僕たちは、あの事故で本当に亡くなっていたのかもしれない。

それを認識した瞬間、背筋が凍るような感覚が全身を駆け巡った。タケル、ユウジ、ミカは無言で僕の方を見つめていたが、もうその顔には、最初に感じていた温かさは感じられなかった。ただ、冷たく無機質な視線が僕に向けられていた。

あの日、バス事故で命を落としたのは、僕たち全員だったのだ。

そして、今もなお、僕たちはその事実を受け入れることができずに、こうして日常のように見える虚構の中で過ごしているだけだった。



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