大学時代、僕には親友のタケルがいた。いつも一緒に飲みに行ったり、夜遅くまでゲームをしたりする仲で、互いに何でも話せる気楽な関係だった。卒業後、タケルは地元に戻り、僕は都会で就職したため、頻繁に会うことはなくなったが、月に一度くらいは電話で話していた。
ある日、タケルから突然の電話がかかってきた。深夜2時、僕は眠っていたが、鳴り響くスマホのバイブレーションで目が覚めた。画面を見ると「タケル」の名前が表示されていた。
「こんな時間に何だ?」と思いながらも、親友からの電話だし、何かあったのかもしれないと慌てて出た。
「…もしもし、どうした?」
少し寝ぼけながらそう言ったが、返ってくるのはノイズ混じりの微かな声だけだった。タケルの声が聞こえるものの、何を言っているのかはわからなかった。かすかに何かを話しているのは感じたが、言葉が不明瞭で、どうにも内容が掴めない。
「タケル?聞こえてる?何かあったのか?」
そう尋ねたが、やはり返答はない。ただ、微かに「…来てくれ…」という声だけがかすかに聞こえた気がした。けれど、それもはっきりとしたものではなく、ノイズにかき消されるように途切れ途切れだった。
その時、急に電話が切れた。僕はしばらくスマホを見つめていたが、気味が悪いものを感じながらも、「寝ぼけて何か間違ってかけてきたんだろう」と自分に言い聞かせ、そのまま再び眠りに落ちた。
次の日の昼、タケルに連絡を取ろうと思い、メッセージを送ったが、返事がない。不安になり、直接電話をかけてみたが、繋がらなかった。「何かあったのか?」という不安が頭をよぎったが、仕事が忙しく、翌日までそのことを放置してしまった。
そして、翌日、共通の友人から衝撃的な連絡が入った。タケルが数日前に事故で亡くなったというのだ。僕はその話を聞いて、頭が真っ白になった。
「数日前…?まさか…」
タケルが事故に遭ったのは、ちょうど彼から深夜に電話があった日だという。事故が起こったのは夜9時頃で、その後すぐに病院に運ばれたが、助からなかったらしい。つまり、僕が深夜2時に受け取った電話は、タケルが亡くなった後にかかってきたことになる。
背筋に冷たいものが走った。まさか、あの電話は本当にタケルが…?考えれば考えるほど、ありえない事実に恐怖が押し寄せてきた。すぐにスマホの履歴を確認したが、タケルからの着信は確かに残っている。
次の日、タケルの葬儀に参加した。現実を目の当たりにしながらも、あの深夜の電話のことが頭から離れなかった。彼の最後の言葉らしき「来てくれ」という声…それは、どこかへ「迎えに来てほしい」という意味だったのか、それとも僕に何か伝えたかったのか、今でもわからない。
その後も何度か、タケルの声が脳裏をよぎることがあったが、彼からの電話が再びかかってくることはなかった。だが、あの夜の着信は、スマホの履歴に今でも残っている。それを見るたびに、タケルが僕に何かを託そうとしていたのかもしれないという思いが、恐怖と共に心に重くのしかかっている。
死者からの電話…それはただの錯覚か、それとも何か本当にあったのか、誰にも話せずに、今でも僕はその答えを探している。
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