怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

真夜中の訪問者:不在のはずの少女 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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深夜2時。外は静まり返り、風の音すら聞こえない。僕は一人、アパートのリビングで映画を観ていた。古いホラー映画で、音楽も怖く、ちょうど最高潮に差しかかっていた時だった。

突然、玄関のインターホンが鳴った。時間を見ると2時15分。こんな時間に誰が来るんだろう?少し不安になりながらも、モニターを確認する。そこには、真っ白なワンピースを着た小さな少女が立っていた。5歳くらいだろうか?彼女は顔を下に向け、長い髪が顔を隠していた。

「こんな時間に…?」と思いながらも、玄関を開けることはせず、インターホン越しに声をかけた。「どうしたの?」

少女は何も答えない。ただ、じっとモニターに映る彼女の姿を見ていると、次第に寒気が背筋を走った。彼女の姿がどこか異様だったのだ。

もう一度、「大丈夫?」と尋ねると、少女はゆっくりと顔を上げた。そこには、目や鼻がない、まるで彫り込まれたようなツルツルの顔が映し出されていた。

僕はその場で固まり、目を離せなくなった。次の瞬間、モニターの映像がパッと消え、真っ黒になった。しかし、インターホンは鳴り続け、誰かが玄関を何度も叩いている。

恐怖に駆られ、急いでドアチェーンをかけ、鍵を確認した。それでも、ドアの向こうから少女の囁くような声が聞こえてくる。「あけて…あけて…」

心臓がドキドキと早鐘のように鳴り、呼吸が荒くなった。絶対に開けるわけにはいかない。しかし、その瞬間、部屋の窓がガタガタと揺れ、カーテンが強風に煽られるように激しく揺れ始めた。振り向くと、窓の外にも彼女が立っていたのだ。表情のない顔で、こちらをじっと見つめている。

その夜、僕は一睡もできなかった。そして、翌日になっても彼女はいなくなることなく、まるで影のように僕の周りに現れ続けた。

それから数週間、僕の生活は地獄と化した。彼女の姿が常に目の端にちらつき、振り返るたびに無言でこちらを見つめている。音もなく、ただ立っているだけなのに、その存在が次第に僕の精神を追い詰めていった。誰に話しても信じてもらえるはずもなく、友人たちは「ストレスで幻覚を見ているんだ」と言うばかりだった。

耐えきれず、僕はついに引っ越しを決意した。遠く離れた町に、彼女のことを忘れようと必死に新しい生活を始めた。しかし、どこへ行っても、どんな場所にいても、ふとした瞬間に彼女が立っているのだ。無表情で、何も言わず、ただ見つめている。

僕は彼女が何者なのか、どうして僕に付きまとっているのか、未だにわからない。ただ一つ言えるのは、彼女から逃れる術はないということだ。彼女は今も、僕のすぐ後ろにいるかもしれない。



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