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二人だけが知る不思議な“友達”の思い出 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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いつものファミレスで、幼馴染の友人と向かい合って昼食を楽しんでいた。周囲のテーブルには、楽しそうな家族連れや友達同士が集い、笑い声が響いていた。私たちも特に話題を決めるわけでもなく、当たり障りのない会話を交わしていた。

「最近どう?」私はフォークを使ってパスタを巻きながら、友人に問いかけた。

「まぁ、仕事も順調だし、特に大きな変化はないかな。いつも通りだよ。」友人はサラダをつまみながら、軽く微笑んだ。

「そうか。それが一番かもな。俺も変わり映えしないけど、たまには休みをとってどこかに行きたいなって思うよ。最近はどこにも出かけてないしさ。」

「そうだなぁ。大人になると、どんどん忙しくなるから、自由に遊べてた子供の頃が懐かしく感じるよな。」

「確かに、あの頃は何も考えずに外で遊んでたなぁ。お前とよく一緒に川で遊んだり、木に登ったりしてさ。」

「そうそう、あの頃はよく二人で外に出て、無駄に走り回ってたよなぁ。今はそんなことやったら、体力が持たないけどさ。」友人が懐かしそうに笑いながら言った。

「ああ、本当に。そういえば、あの時のこと覚えてるか?」友人が突然少し真剣な表情を見せた。

「ん?どのこと?」

「俺たちが小さい頃、一緒に遊んでる時にだけ現れてた友達、いたじゃん。」

「友達?」私は首をかしげた。幼馴染と一緒に遊んでいたのは覚えているが、他に誰かいたかは思い出せなかった。

「そうだよ、あの不思議な友達。いつも二人で遊んでる時にだけ、急に現れてたんだ。ほら、気づくとすぐそばにいて、声をかけてきてさ。」

その瞬間、頭の中にぼんやりとした記憶が蘇った。そうだ…確かに、そんなことがあった気がする。

「え、あいつ…いたな。確かにいた。いつも気づいたら隣に立ってて、何気なく会話に入ってきたんだよな。どこから来てたのかもわからないのに。」

「そうそう!でも、あいつってどこに家があったのか、どこの学校に通ってたのか、全然わからなかったよな。俺たち二人だけが知ってる感じでさ。誰に話しても、あの子のこと知ってるやつはいなかったし。」

「あぁ、そうだったな。他の友達と一緒に遊んでる時には一度も現れなかったんだよな。いつも俺たち二人の時だけだった。」思い出が鮮明になるにつれて、少し背中に寒気が走った。あの友達のことを思い返すと、妙に現実感が薄れていくような感覚だった。

「不思議だよな。見た目も普通の子供だったし、無邪気に遊んでくれて、何の違和感もなかった。でも、あいつが現れる時って、いつも同じだった。気づいたら隣にいて、笑いながら『何してるの?』って声をかけてくるんだよ。」

「うん、そうだ。しかも、遊びが終わると、またいつの間にかいなくなってるんだよな。どこに帰っていったのかも全くわからなかったし、俺たちもそのことを特に気にしてなかったのが不思議だよ。」

「そうなんだよ。普通だったら気になるだろうに、当時はあの子がいることが当たり前みたいに感じてた。あの子が現れるのも、消えていくのも自然なことのように思ってたよな。」

私はじっと友人の話を聞きながら、自分たちが遊んでいた場所を思い浮かべた。近所の林や、広い空き地で走り回っていたあの頃。あの子供が、どこからともなく現れては、一緒に遊び、気づいた時にはいなくなっていた。

「でもさ、あいつどこに住んでたんだろうな?他の友達が知らないってのが、今になって不思議だよ。普通、同じ地域の子供だったら、誰かしら知っててもおかしくないじゃん。」

「本当にな。名前だって、俺たちは普通に呼んでたけど、今考えるとちゃんとしたフルネームすら覚えてないし、何者だったんだろうな…」

「でも、怖いって感じはしなかったよな。ただの不思議な思い出って感じでさ。」

「ああ、怖いってよりは、不思議で、夢みたいな出来事だったな。けど、今思い出すと、何か妙に現実離れしてる気がするんだよな。」

「そうだな…あの子が一体何だったのか、どうして俺たち二人の前にだけ現れたのか…考えても答えは出ないけど、ただの空想や幻じゃなかったって確信はあるよな。」

友人と私の間にしばし沈黙が訪れた。ファミレスの明るい空気の中で、私たちだけが不思議な過去の記憶に引き込まれているような感覚が広がる。

「結局、あの友達が現れなくなったのって、いつ頃だったんだろうな?」私はふと思い出して聞いた。

「たぶん、俺たちが少し大きくなって、外で一緒に遊ばなくなった頃だろうな。もう中学生くらいになったら、あいつのことは忘れちゃってたんだろう。でも、今こうして話してると、確かにあの子はいたんだよな。」

「うん、間違いない。あの子は確かに俺たちと遊んでたんだ。」

二人の間で交わされた不思議な思い出話は、今ではただの記憶の片隅にあるものかもしれないが、その存在は確かに二人にとって「特別」なものだった。誰にも説明できない、そして誰にも理解されない「友達」の存在が、幼少期の一部として深く刻まれていた。

その日、ファミレスを出た後も、私はずっとその友達のことを考えていた。



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