いつもの喫茶店で、私とリョウはアキラの話を心待ちにしていた。彼の体験談はどれも独特の緊張感があり、ただ怖いだけではなく、何か得体の知れない恐怖を常に感じさせてくれる。今日もアキラはコーヒーを一口飲み、深く息をついてから静かに話し始めた。
「今回の話は、小学生の親からの相談で始まった。息子が最近、奇妙な行動を取るって言うんだ。意味不明なことをつぶやいたり、空虚な表情を浮かべてどこか遠くを見つめたりしているらしい。でも、本人にそのことを聞いても、何も覚えてないって言うんだ。」
その話を聞いて、私とリョウは一瞬顔を見合わせた。無意識の奇行。それが何を意味しているのか、すぐにわかるわけではないが、不穏な予感がした。
「その子の家に行くと、彼は普通の男の子だった。素直でお利口そうで、特に問題があるようには見えなかったんだ。俺は母親と一緒にその子と少し話した。彼は元気で、最近の奇妙な行動についても特に自覚がなかった。『おかしなことしてる覚えなんてないよ』って言っていた。だが、その言葉の裏に何か隠されているような感覚があったんだ。」
アキラは少し眉をひそめて話を続けた。
「俺は男の子の部屋を見渡してみた。すると、棚の上に何かが目についた。それは、小さな骸骨の形をした人形だった。異様にリアルで、見た瞬間に全身に冷たいものが走った。普通の玩具じゃない。その骸骨人形からは、何か異様な気配が漂っていたんだ。」
リョウが興味深そうに聞いた。「その人形が原因だったのか?」
「ああ、間違いなくそれが原因だった。あの人形が、その子に何かしらの影響を与えていたんだ。俺は母親に説明して、人形を処分することに決めた。庭を借りて、その骸骨人形を燃やすことにしたんだ。でも、燃やす前に息子が急に取り乱して『やめて!』って叫び出したんだよ。」
その時の緊迫感が伝わってくるような、アキラの言葉に私たちは息をのんだ。
「息子は必死に人形を守ろうとした。『燃やしちゃダメだよ!』って泣きながら言うんだ。でも、その言葉が彼自身の意思ではないことは、すぐにわかった。人形が彼にそのような行動を取らせていたんだ。だから、俺は母親に彼をしっかりと押さえてもらい、その骸骨人形に火をつけた。」
アキラは少し表情を曇らせた。
「その瞬間、人形が燃え始めたんだが、普通じゃなかった。火がついた瞬間、その人形はまるで生き物のように動き出して、もだえ苦しみ始めたんだ。あまりにもリアルに、燃えながら苦しむ姿に見えた。俺も少し驚いたが、目を離さずにそのまま燃やし続けた。人形の表情が苦痛に歪むように見えて、そこから聞こえるかのような苦しげな声が、耳にこびりついて離れなかった。」
リョウが恐る恐る聞いた。「それで、その人形はどうなったんだ?」
「やがて、人形は完全に燃え尽きて灰になった。燃え尽きる瞬間まで動いていたが、最後は灰になったんだ。その後、息子は静かに泣きやみ、しばらくすると普通の子供に戻っていた。」
アキラは少し肩をすくめた。
「その後、母親からの報告で、息子は完全に元に戻ったらしい。意味不明なつぶやきや遠くを見るような空虚な表情も消え、日常を取り戻した。彼が抱えていた異常な行動は、人形が引き起こしていたものだったんだ。」
私とリョウはその話を聞いて、背筋に寒気を感じたが、少しだけその骸骨人形を見てみたい気もした。
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