ある日の放課後、友人のタクヤと一緒に公園で遊んでいた。遊び疲れて、そろそろ帰ろうかという話になり、いつもと違う裏路地を通って家に帰ることにした。普段通らない道だったので、僕たちは周りを見回しながら歩いていた。
その時、ふと目に留まったのが、古びた小さなお店だった。店の外観は年季が入っていて、ガラス窓は汚れて曇っており、看板も何が書かれているのか判別できないほどボロボロだった。正直、あまり入りたいと思えるような店ではなかったけれど、店の前に置かれていたガチャガチャが僕の興味を引いた。
「これ、やってみない?」
タクヤがガチャガチャを指さして言う。
そのガチャガチャは、明らかにかなり古く、プラスチックの部分は黄ばんで汚れ、表紙のシールも剥がれかけていて、中に何が入っているのか全くわからない。僕たちは少し不安を感じながらも、好奇心には勝てなかった。
「うん、やってみようか。」
僕たちはそれぞれ100円玉をガチャガチャに入れ、ハンドルを回した。ガチャガチャ特有のカラカラとした音が響き、カプセルが出てきた。僕が手に取ったカプセルの中身を見て、思わず顔をしかめた。
「…なんだこれ?」
カプセルの中に入っていたのは、気味の悪い骸骨の人形だった。手足が不自然に曲がっており、目の部分は真っ黒にくぼんでいて、何とも言えない不気味さが漂っていた。タクヤも同じ骸骨人形を手にして、怪訝そうな表情を浮かべていた。
「これ、気味悪すぎないか?」
「ああ、これ、絶対良くないよ。持って帰るの嫌だな。」
そう言って、僕たちはその骸骨人形をどうするか悩んだ。気味が悪いから持ち帰りたくないし、でも、どこかに捨てるのも気が引ける。
「空き地に捨てようぜ。」
帰り道にある空き地なら誰も気づかないだろうと思い、僕たちはそのまま空き地に向かった。そして、空き地に到着すると、僕たちはその骸骨人形を力強く放り投げた。投げ捨てた瞬間、気味悪さから少しだけ解放された気がした。
だが、その時だった。突然、どこからともなく野良猫が現れ、僕たちが投げ捨てた骸骨人形に近づいた。最初は何をするのかと見ていたが、その猫はまるで獲物を見つけたかのように、骸骨人形に噛みつき始めた。
「え…何してんの?」
その瞬間、驚くべきことが起こった。猫が骸骨人形を噛んだ途端、カプセルから出てきた無機質なはずの骸骨が、まるで生き物のように歪み、苦しそうにもがき始めたのだ。まるで魂が宿ったかのように、骸骨の口からかすかに「ギィー…」という悲鳴が漏れ、体全体が痙攣しているように見えた。
「おい、なんだよこれ…」タクヤが震える声で言った。
猫はそんな様子をまるで気にすることなく、さらに激しく噛みつき、骸骨人形をバリバリと食べ進めていった。猫の牙が骸骨の首に深く食い込み、悲鳴のような音が次第に弱まっていく。骸骨は苦しそうに、もがけばもがくほどその姿が小さくなっていき、最後には猫の口の中で消えていった。
僕もタクヤも、その光景に言葉を失った。普通ならこんな人形に興味を示すはずがない。それなのに、その猫はまるで餌を食べるかのように、平然と骸骨を食べ終えてしまったのだ。猫には骸骨人形が生きていることがわかったのだろうか。いや骸骨人形は、本当に生きていたのだろうか。
「おい、これ、やばくないか?」
「…早く帰ろう。」
僕たちは恐怖に駆られ、その場を後にした。骸骨がまるで生き物のように悲鳴を上げ、野良猫がそれを食べる光景は、何かが狂っているとしか思えなかった。
しかし、その出来事が終わりではなかった。それ以来、僕たちは毎日のように学校への登下校の際に、その空き地で同じ猫を見かけるようになった。最初はただの野良猫だと思っていたが、次第にその猫に異変が現れ始めた。
最初に気づいたのは、目つきだった。猫の瞳が妙に鋭く、光を吸い込むような不気味さを帯びていた。そして、次に気づいたのは、体の毛の色だった。最初は普通の灰色だったのが、日を追うごとに黒ずんでいき、最後にはどす黒い緑がかった色へと変わっていった。
「…あの猫、変じゃないか?」
「うん。なんか、見てるだけで嫌な気分になる。」
僕たちは空き地を通るたび、その猫に見られているような気がしてならなかった。目が合うたびに背筋が冷たくなり、どこか不安を感じるようになった。
結局、あのガチャガチャが何だったのか、骸骨人形がどうして猫に食べられたのかは分からない。ただ、その猫の存在は、今でも僕の記憶に残っている。空き地を通るたび、あの猫が再び現れるのではないかという恐怖を感じるのだ。
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